OBT 人財マガジン

2010.01.27 : VOL84 UPDATED

OBTカフェ

  • 活躍できる"舞台"を

    先日、数年ぶりに劇団四季のミュージカルを観劇した。
    平日にも関わらず、劇場は満席。
    ――そういえば、数ヵ月先までチケットが売り切れで、随分前から予約をして

    いたのだっけ。
    満席の会場を見回しながら「どおりでチケットが取れないわけだ」と、思わず

    納得してしまった。

     

    歌はもちろん、衣装や演出など、すべてが素晴らしく、観劇中、強い感動を

    何度も覚えた。
    「以前見た時よりも格段に進化している」と、断言してもいい。
    「次はいつにしよう」と、帰り道には次の予約のことでもう頭がいっぱいに

    なっていた。

     

    そんな折、四季の代表であり、演出家でもある浅利慶太氏が、経営や劇団員の

    育成について語っているテレビ番組を観る機会があった。
    劇団への入団は狭き門だが、入団したからといって容易に舞台に上がれるわけ

    ではない。
    その代わり、実力のある者には、たとえ新人であっても舞台が用意される。
    劇団側は様々なレッスンやカリキュラムを用意し、団員の育成、レベルアップに

    取り組み、劇団員たちは、自分の "役" をもらうために、毎日必死に練習に励む。
    この相乗効果により、四季の舞台は日々ブラッシュアップされていくのである。

     

    何度観ても、新しい感動がある。
    これこそがロングランヒットを飛ばし続ける、四季の強みであり魅力なのだろう。

     

    「一人のスターを出すのではなく、劇団全体のレベルを上げることが大切」と語る

    浅利氏の姿が印象的だった。
    確かに、四季には宝塚のような "トップスター" はいないが、舞台上の誰に目を

    やっても、主役を見ているような存在感があるのだ。
    不況という時代にありながらも、この7年間、四季では毎年200億円以上の売上高を

    キープしているという。

     

    組織全体のレベルを上げるために徹底した教育を施し、優秀な者にはさらなる

    ステージを与える。
    これこそが、常に最高のパフォーマンスで魅了し続ける四季の成功のメカニズム。
    今回お話を伺った平田氏のファイテン株式会社も、四季と同じように
    キャリアや年齢に関係なく、実力のある者やいいアイディアを持つ者には
    誰でも "舞台" に上がれるチャンスが与えられる。


    目標があることで、モチベーションが上がるのは劇団員も社員も同じこと。
    社員の育成と同時に、活躍できるステージを用意してあげることも、
    組織の大切な役割のひとつなのだ、と深く感じた取材であった。