OBT 人財マガジン
2010.01.13 : VOL83 UPDATED
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考える前に、動く
もはや単なるブームではなく、"国民食"の座にまで登りつめたラーメン。
どんなに不便な立地であっても、どんなに営業時間が短くても、
人気店と呼ばれる店の前には、その味を求めて開店前から長い行列ができる。
外食産業が軒並み苦戦を強いられている、不況の時代とはとても思えない光景だ。新たな行列店が続々と登場する一方で、最近パタリと名を聞かなくなった
有名店も多い。
入れ替わりの激しいラーメン業界で、5年、10年と変わらず行列を保ち続けることは
人気店の仲間入りを果たすこと以上に難しいこととされている。前に、ある店の店主と話す機会があった。
オープンから10年以上が経った今も、行列の絶えることのない人気店だ。
その方も、今回お話を伺ったファイテン株式会社の平田社長と同じく、
全くの異業種から参入された方であった。
それまでラーメンをほとんど食べたことのなかったという店主が
他店での修業経験もなく店を構えたという話に、大変驚いたことを覚えている。
「せっかくの素人なんだから、人真似なんかしたらもったいない」
野菜、肉、魚介、ありとあらゆる素材でだしを取り、
ありとあらゆるだしとだしを組み合わせ、
自らの手で、一から今の味を完成させたという。
――人からみたら突拍子もないこともあるかもしれないけれど、
知識も経験もない素人の自分なら、
誰も思いつかないような新しいアイディアも思いつくかもしれない。既成概念にとらわれない独自目線を貫き、唯一無二の存在であり続けている同店。
「アマチュアは知識がないから、ゼロから挑戦できる」
平田社長と、全く同じ発想で成功を収めた。ブームはいつか終わるもの。
既存の人気商品に頼り、流行にすがっていては、企業の存続が危ぶまれる。
――できるかできないかを考えるのではなく、まずは試してみることだ
平田社長の言葉が深く胸に刻まれたインタビューであった。