OBT 人財マガジン
2009.04.08 : VOL65 UPDATED
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『最後の授業』 著者 カーネギーメロン大学教授 ランディ・パウシュ
「人が生きるとはどういうことか。」
生きる目的、生き甲斐などという言葉は、本当に自分がこれだと思える瞬間は、
もしかしたら自らの「死」を間近に感じた時なのかもしれない。『最後の授業』著者 カーネギーメロン大学教授 ランディ・パウシュ
彼の大学での最後の講義は、400人もの聴衆から始まり、
インターネットでの動画配信によって延べ600万ものアクセスを記録している。ランディ・パウシュは当時46歳。膵臓癌の告知から、肝臓への転移により10個の腫瘍が確認され、
その時に死へのカウントダウンを始める。
もし、自分が今ここで死を予告されたらどうだろうか。その事実を受け入れるまでに相当の時間がかかるだろうし、そこで受けるショックも計り知れない。
ましてや、やりたかった事が出来なくなる、
自らの人生設計が大きく狂うという事実は、その衝動的な事実を心底恨むであろう。
「何故私がこんな目に遭わなければいけないのか・・・・」「こんなんじゃ、生きてる意味なんかない・・・・」
何かの事故や病気によって、どうしようもならない事実が判明した場合、そこを乗り越えられる、
またはそう思わせられるのは自分自身しかいないという事を、
本当に身に染みて感じさせてくれるのが、ランディ・パウシュの生き方である。
彼が伝えたかったこと、それは「生きる」ということであった。
少し、自分を振り返ってみて欲しい。
以下の項目に、あなたの考えはいくつ当てはまりますか?
・おとぎ話はハッピーエンドとはかぎらない
・時間を管理する
・仲間の意見に耳を傾ける
・幸運は、準備と機会がめぐりあったときに起こる
・自分に夢を見る時間を与える
・格好よくあるよりまじめであれ
・ときには降参する
・不満を口にしない
・他人の考えを気にしすぎない
・チームワークの大切さを知る
・人のいちばんいいところを見つける
・何を言ったかではなく、何をやったかに注目する
・決まり文句に学ぶ
・相手の視点に立って発想する
・「ありがとう」を伝える
・ひたむきに取り組む
・人にしてもらったことを人にしてあげる
・準備を怠らない
・謝るときは心から
・誠実であれ
・子供のころの夢を思い出す
・思いやりを示す
・自分の常識にとらわれない
・決してあきらめない
・責任を引き受ける
・すべての瞬間を楽しむ
・楽観的になるこれらの項目は、『最後の授業』の中でランディが自分自身に常に問いかけていた事であり、
周りの人達から学んだことの抜粋である。
ランディ自身、癌の宣告を受けて人生観に変化があったのも事実であるが、
それ以前に彼の夢に対するひた向きな姿勢と、実直な性格、そして人に愛されていたし、彼も周りの人達を心から愛していて、感謝をしていた。
この事実が、結果として彼の本質を造り出していたのである。
壁の向こうにある「何か」を、自分がどれほど真剣に望んでいるか、証明するチャンスが与えられるのには意味がある。
そしてこれこそが、夢をかなえるという事である。
彼は、最後の授業でこう語った。「人生を正しく生きれば、運命は自分で動き出します。夢のほうから、きみたちのところにやって来るのです」
人は、普通に生活している中で当たり前の様に存在するものに、どうしても感謝を抱かなくなってしまう生き物である、と思う。
人によってその価値観はまちまちであるが、何かその対象に不満を感じていても、
その存在の価値を失った時に気づくようでは遅すぎるというものである。分かってはいながら、感情や日常に追われる中で忘れがちな存在である。
しかし、人は本当に一人では生きていけない生き物であるというのは、紛れもない事実である。
ふと考えてみると、コンビニで弁当を買うのを想像するだけでも、その弁当には実に多くの人の手が加えられているのが分かる。
人間は、物を食べるという事も、一人では出来ないのだ。
良き人生を考える事も大切であるが、今ある人生に感謝をする事から初めてみるのもいいもかもしれない。
そこから見えてくるものが、新たな自分の扉を開く鍵であることを、ランディは教えてくれた。