OBT 人財マガジン
2008.08.27 : VOL51 UPDATED
-
人を育てるということ : 大人は黙って生き様を示せ
私の住む相模原市の今年の"新成人"は二十歳らしいフレッシュな若人が目立った。
式典会場入り口にアルコール検知器を設置して酒気帯びのチェックをしたところもあったと
報道されていたが、なんとも不愉快な話題もあった今年の成人の日。
世の"大人"たちが、必ずしも立派な人間ばかりではないように、
若人はみんな非常識な行動をとる存在だと決め付けているのは如何なものか。
ほんの一部のはねかえり行動を力で押さえつけようと、主催者側のスタッフが
自分の"立場"を守るためにアルコール検知器での入場者チェックはないだろう。
昨年11月に日本で開催された「技能五輪国際大会」で、日本の若者は金メダル16個で世界一の獲得数だったそうだ。
中でも、洋菓子部門と造園部門で初めての金メダルに輝くなど、
参加資格である"22歳以下"の若者が大活躍だった。
「近頃の若いもんは・・・」という台詞が出るようになると"老化第三段階"だそうだが、
注) 第一段階は、何をするにも面倒くさくなる
第二段階は、外見を気にしなくなる。要するに色気がなくなってくる。
第四段階は、立ったり座ったりする時に「どっこいしょ」と掛け声を発するようになる。
第五段階は、忘れっぽくなったと気にし始める。
それ以上進むと、忘れっぽいことも気にしなくなる。
そんな台詞を吐く前に、"大人"たちが、まず自分たちがもっとまともな意見を言える存在で
あらねばならないはずではないだろうか。
「教育再生」などと具体性のない単語を並べるより、あるべき"大人"の姿は、
自らの背中で語ってほしいものだ。
今の日本は、若人も年配者も、お互いにもっと理解し認め合おうという努力も
欠けているようにも感じる。
大人は、若人をいつまでも子ども扱いしない、若人は人生の先輩を敬うことを
教えなければならないのではないか。
テレビ番組で紹介された「技能五輪国際大会」の出場者とその"師匠"たち。
"修行"を乗り越えて成長していく若者と、厳しい中に若者への愛情を持って育てている姿を見た。
理屈っぽい教育論より、自信を持って黙って示していく、大人の姿を感じさせられた。