OBT 人財マガジン
2008.02.27 : VOL40 UPDATED
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見つめ直す重要性 ― 目的は何か ―
普段、人事担当の方とお話をしていると、
「採用や教育を何のために行うのだろうか」と疑問に思う事がある。例えば、この時期、新入社員の話題になる事も多いが、
採用面では、採用人数の確保が最優先され、
企業は会社の表面的な良さ(楽しい雰囲気、キャッチコピー等)だけを打ち出し、
人事担当者も柔らかい対応に徹する...
育成面ではOJT、メンター等、制度の導入に落ち着く。
教育も研修テーマを並べるだけ...等、
それぞれが断片的で、上辺だけの整合性で留まっている状況も少なくない。つまり、重視すべき一つ一つの目的が無視され、
「我が社に必要な人財とはどのような人財か」
「自律的な人財にするために、組織はどう変われば良いか」
「OJTに関わる若手-中堅社員を統率するマネージャークラスの
在り様はこのままで良いか」等々、
本来話すべき議論が全くなされていないのだ。また、企業によっては"若手-中堅-管理職"と教育担当が分かれており、
階層を超えた連携が重要なのにも関わらず、
「自分は管轄が違う。出過ぎた事をすると、ややこしいことになる」等、
自らが部署内に壁を作っている事もある。これでは、社員が自律的で革新的な人財に変わるはずもなく、
いくら採用や教育、制度に時間・労力・コストをかけても成果は高まらない。何も疑問を抱かず、こだわらずに毎日仕事を進めていけば楽だし簡単だ。
しかし、それが日常的に繰り返され、積み重なっていくと
予期せぬ結果が企業を襲い、体質そのものとして醸成されていく。
仕事をしていく中で、
「本当にこのままで我が社が変わるだろうか」
「社員が成長していくのだろうか」
という疑いをほんの少しでも感じた場合、もっと深く突き詰めて考え、
本来の目的を一つ一つ見つめ直していくべきだ。
人は瞬間的に変わらない。
この細かな訓練の積み重ねこそが、人・組織が変化する上で重要なのではないだろうか。OBT協会 海津茂史