OBT 人財マガジン
2007.11.21 : VOL35 UPDATED
-
足ツボマッサージから考える
最近、社の福利厚生で療術師による足ツボマッサージの施術をしてもらう
機会があった。-自然治癒力を高める-
足は第二の心臓ともいわれ、全身の器官を反映した反射区が存在する。
足ツボとは、この反射区を刺激することにより、各々の臓器の活性化による
良好な血流の状態が期待でき、結果として全身のバランスがよくなり、
自然治癒力が高まるというからくりだ。頭が痛いから頭痛薬を飲む。胃が痛いので胃薬を飲む。傷口に絆創膏を
はるなど、日頃のささいな病状や怪我に対して、多くの人はその現象に
対処してしまいがちではないかと思う。
なぜならそれは、即効性があり、一時的には良好であり、いわゆる
"その場しのぎ"の状況でひとまずは難を逃れることが出来るからだ。しかし、頭、胃、傷口といった局所を見るのではなく、足ツボの効能に
あるように全身を捉えその原因をさぐり、改善しようとすると違った対応に
なるのではないだろうか。頭痛という現象ひとつをとっても、片頭痛・肩こりからくる筋緊張性頭痛・
心気性頭痛など、その原因はさまざまであり、血管・肩・心というような
原因部分に対する対処、更にはその原因の発生要因を考えていくと、
人間の生命維持の成り立ち、咀嚼・運動・排出というような面にまで
立ち戻っていく必要があるはずだ。-企業の問題解決も同じ-
そして、このような事は、我々が企業に成さんとすることと相通ずること
ではないかと思う。企業の抱える問題として、
"離職率が高いので、人件費のかからない派遣社員を起用しその状況に
対処する。""高収入をかかげ社員のモチベーション維持に対処する。"
"顧客対応の悪い支店に対して突発的にCS研修など実施する。"
とういうような状況は、問題に対する一打開策にはなるものの、核心に
触れる部分での対応をなんら行っていないため、違った側面からの新たな
問題の発生や、結果的な状況の悪化が予測される。組織として、
"なぜ離職する者が後をたたないのか"
"社員のモチベーションが上がらないのはなぜなのか"
"その組織に属するものとして顧客を満足させるとはどういうことか"という
問題の原因や、企業の目的に対するビジョンを常に明確にするなどという
ところに立ち戻り、それまでの制度や仕組みを改善していくという取り組み
こそが必要なのではないかと思う。-その場しのぎは続かない-
人間の体と同様に組織もまた、目前の出来事に対する対処を強いられると
ついその場しのぎの繕いを図り、あたかも上手く成り立っていると上辺だけで
事の収まりがついたと捉えがちだ。
しかし実際は、組織の中は混沌としていて少数精鋭のわずかな人々が、
どうにか効力をきらさないように回しているとか皆が業務に追われて目的や
あるべき姿というものを見失っている状況というように、強固な組織体とは
到底言えない事態が蔓延っていることはないだろうか。
今起こっている問題に対応する、この現実的な時間の流れを酌みつつも、
企業全体としてみたときに人事制度や業務全体の抜本的な見直しをはかる。
あるいは、我々のような外部の介入で思い切って歪みに切り口を入れてみる
など、解決にむけた長期的な取り組みを行うことこそ必要なのではないかと思う。
On the Business Training 協会 坂本 晴香