OBT 人財マガジン
2006.10.10 : VOL9 UPDATED
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求める人物像にとって魅力ある会社とは何か
お客様の採用のお手伝いを通じて日々実感すること - 3
■10/4付の日経新聞で「人材派遣料金の上昇」という記事が出ていました。
「約半年間で平均賃金が1割上昇した」という内容でしたが、
この上昇率は1986年の労働者派遣法が施行されて以来初めてとのこと。
中でも一番上げ幅が大きかったのが「事務職」、
人材派遣大手が利用企業に請求する一般事務職の時給は現在、
1950円〜2333円(首都圏/税別/交通費別)でした。
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■先日、派遣会社のお客様とお話をする機会があったのですが、
「派遣スタッフが不足して"人材待ち"のクライアントも多い」との事でした。
2,3年前の「経験者しか受けいれない」企業の姿勢は一変し、
未経験スタッフでも採用するケースが増加しているようです。
また、一番採用しづらい職種は新聞記事同様「事務職」。
「正社員で雇用する企業が増加し、登録者も安定した正社員に流れる傾向にある」事が主な理由でした。未経験の事務職採用の場合、
数年前は「時給1200円」で募集できた派遣スタッフも、
現在では「時給1500円」でも集まらないのが現状。
また、「未経験者」の時給が上昇しているため、「経験者」との格差がなくなってきているそうです。
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■人材不足のため、企業の採用基準が低くなり、
未経験者層の時給が上昇する一方で、
派遣登録者は今までよりも簡単に仕事が決まるため
「嫌なことがあるとすぐに辞めてしまう」現象が増加しています。また、08年度の新卒採用を見てみると、
金融業界を中心に1000人以上の大型採用を予定している企業が増えていますが、
賃金に注目すると、8月の平均現金給与総額は0.5%減となり、
【※前年同月比/出典:厚生労働省】
企業が雇用の増加に対して、人件費は押さえているのが現状です。↓
■ 以上より、
・ (経験が浅くても)採用するためには給与を上げざるを得ない
・ これからの採用難を懸念し、自社雇用を拡大する(→絶対数の増加)
傾向が見られ、企業の「人材」へのコストは深刻化しています。↓
■求職者にとっては経験/スキルが低くても
「高待遇」で向かえ入れてくれる企業が増加している状態。
企業側は、多くの求職者や既存社員に対して
「定着」や「質」を求めることは難しくなってきています。
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■「定着率」や「社員の質」を高めるためには、
客観的な視点から自社の全体像を理解し、その上で
「魅力的な(=他者から選ばれる)会社」を目指すことで、
仕事に対する想いや自己に対する向上心を社員に根付かせる事が必要です。採用の現場では
「1週間で辞めてしまう」「内定を辞退してしまう」ことも起きていますが、
「若者の離職率の高さ」や「バブル期並みに求人倍率が高い」
という"現象"だけで終わらせ、人数確保に努めるのではなく
「辞退した人間は何を考えていたのか」
「今、求職者は何を求めているのか」という原因を考えた上で
自社にとってどのような人材が必要か、
求める人物像にとって魅力ある会社とは何か
を考えていくことが、求められているのではないでしょうか。