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2008年度も年度末を迎え、今年度を振り返ってみるとまさに激動の年の始まりであった。
上半期までは、どちらかというと好況を維持していた景気も秋口より大きく下降し、日本企業の現状は、予想もしなかった金融危機というトンネルの中にあって、出口が見えず、自分たちが今走っている方向もよくわからなくなってしまったというのが多くの企業の実感であろう。
"100年に1度の危機"といわれているが、本当の意味での厳しさはこれからではないだろうか。
2008年度3月期の多くの企業の決算は、勿論悪いがそれでも上半期の貯金があるが、2009年度は、年間を通して厳しい状況が続くのではないだろうか。
過去からの成功体験に培われた在り方では政治も経営も必ず行き詰まる。
このような状況の中で、経営も政治もリーダーといわれる人たちは、関係者にきちんと出口を示し、展望を持たせることが重要となってくる。
国民が国家を形成し、社員が企業を形成しているのだから、1人1人が元気にならない限り国も企業も何時まで経っても疲弊感と停滞感ばかりが漂う状況から抜け出すことは出来ない。
2008年4月から"この人に聞く"でご登場頂いた11人の方々が異句同音に仰っておられることの根底にあるものは いずれも"競争力の構築は人財の変革というところに尽きる"ということを示唆しているように思える。 -
待ちの姿勢ではなく顧客を呼び込む知恵と主体的行動の重要性
──── 大須商店街連盟 小野会長
商店街活性化を目指し、自らイベント開催や催しを起こす「主体性」を商店街の組織に根付かせることに重きを置いて活動を続けていらっしゃいます。 人を呼び込む為に考えた案は数知れず、ですがやってみることの重要さと、人との繋がりを大事にしてこられた思いが、どんどん人を呼び集める効果が高いのということを、 実証とともに語る小野会長の人間力に惹きつけられます。 >この記事の続きはこちら br> br>
人と組織の変革は、一緒に気持ちを分かち合う仲間の大切さの認識なくして成立しない
────学習院大学経済学部 内野教授
人がどんなに辛い状況であっても、「未来への希望」や「一緒に気持ちを分かち合う仲間」があることが、大きな要素となる、そうインタビューに答えて頂いた内野先生の言葉には、 現実の環境の中で、人間の内なる反応までをも見抜く鋭さを感じました。 現在の会社組織で、ミドルマネージャーの位置付けと、現実の業務量や評価制度による矛盾。それはマネージャー達に、計り知れない圧力をかけて、徐々に体力を奪っていることにもなっているという。こうした内部から起こる組織の崩壊が、いずれは会社全体としての問題となって浮き彫りになり、そうなった時はかなり重症であると捉えた方がよいと、内野先生は語っています。 成果主義の導入による繁栄と衰退。これを組織の要である、ミドルマネージャーに焦点を当ててお話を伺いました。 >この記事の続きはこちら br> br>
社員の受身体質を変えることが子会社の在り方を変える
────ドコモ・テクノロジ株式会社 木下前代表取締役
親会社の子会社であるが為に生まれる「下請け意識」を脱却し、受身体質の意識をどう変えるかが課題であった、と語るのは、ドコモ・テクノロジ株式会社の木下氏(前代表取締役社長)。「現状を見える化」することで、業務に携わる社員の意識を変える方法を模索する中、 今までの体制であった無駄を認識することから始めたそうです。 親会社との繋がりが深いからこそ、生じる現実の受身体制は、仕事の本質的なところを見直し、変えていかなければという強い使命感も感じられます。 強みである技術力を持つ人財を、将来を見据えて育てていく環境が、 会社組織としての根底を支えることであるといった考えの下で動く姿勢に、子会社も会社であるという、見失いがちな意識を考えさせられます。 >この記事の続きはこちら br> br>
理想の病院作りは、理念型組織から
────青梅慶友病院 大塚理事長
病院の理想を思い描くが、職員の定着率が悪い現状や、お年寄りを多く扱う病院そのものが「老人病院」として悪の認識をされてしまう現状。しかし流れに逆らわず、逆境をチャンスに変えることが、新たな道への扉であったと、理事長の大塚氏は語ります。「患者様に一番喜んでもらえる事は何か」を常に突き詰めて考える意識は共有し、それぞれが考え動いている姿に、立ち上げの病院とは全く違った印象を受けます。 そこで取り入れられた「360度評価制度」。多数の目は「神の目」とし、職員の評価には独断と偏見を一切なくした公平さが伺えます。「安心して働ける場所」は「安心して入院できる場所」へと繋がるということを、信念として持っておられます。人と人とがじっくりと紡ぎ上げていく姿は、子を育てる親の姿を思い浮かばせます。 >この記事の続きはこちら br> br>
社員の「志」に火をつける、人財育成・風土改革
──── 帝人株式会社 武居人財部長
コア人財に目を向けた育成改革を、即行動に移す考えで実行していく人財部長の武居氏の言葉には、勢いと人財教育が組織を変えるという事に気づいた、意識の高さを強く感じさせられます。評論家的意見が大多数を占めていた社員の現状を、アンケートでも実際に突きつけられ、在りたい姿に向けて動く姿勢を大事にしているとのことです。「私がやる!」プロジェクトは10年計画という長期プラン。しかし、元々根ざしている社内の風土改革をするには、それくらいの時間と努力が必要であり、それだけ人財改革を、今後の企業運営の中で重要な位置として捉えている証拠でもあります。 >この記事の続きはこちら br> br>
社員を感動させる経営が後発からシェアトップ企業を実現
──── 未来工業株式会社 山田取締役相談役
生き残る為に、他社がやらないことをやる!「逆の発想」を活かした展開で、事業を進めるトップの思いに迫ります。「給料に見合うだけの働きをしなくては悪い」これが、顧客満足を達成させる為に、社員満足を追及して出てきた論理であると、取締役相談役の山田氏は語ります。日本人の感覚にあった「義務主義」に注目して出来た施策は、他には見られないやり方がそこにはありました。「年間休日140日間」、「ホウレンソウ禁止」といった施策の中では、社員を人間として捉える事が、そもそもの仕事をする考え方を根本から変える事に結果として繋がっているからです。常識では考えられない事を実行していますが、その根幹には「確かにそうだなぁ・・・」とうなずけるものが多々あります。何かをやる時には「中途半端」が一番ダメという事が強く伝わり、人を変える何かを行う本気度が、社員にどう伝わるかを思い知らされます。 >この記事の続きはこちら br> br>
社員の働き甲斐を高める経営こそ会社に対するロイヤリティ向上につながる
──── 株式会社損保ジャパン・システムソリューション 井戸代表取締役社長
人財を育てたいという思いがあるからこそ、同社で一番必要とされる「システム開発の実力」でラインの構成を行ったと、強くその思いを主張するのは代表取締役社長 井戸氏。 子会社で在るからこそ抱く、閉ざされた世界観を脱するには、社員にとっての刺激や遣り甲斐は何なのかを考えることが大事だと井戸氏は語ります。その為に必要な費用はコストではなく、投資であると会社側が認識することに意味があるのだとも話しています。「会社と会社」の関係から、「人と人」の関係を目指す取り組み方と、いかに多くを体験し、共有化を図れるかも現在進行形の取り組みとしてお伺いしました。 >この記事の続きはこちら br> br>
何事も完璧はない。常に柔軟であること。
──── 日本原料株式会社 齊藤代表取締役社長
祖父の願いでもあった、会社の跡取りという場所を受け入れ、平均年齢57歳の会社に入社する、代表取締役社長 齋藤氏。しかし、目にしたのは、それまで2時間で終わらせていた計算を、2日間かけて作業をしているという、時代とともに変わろうとしない体質の社員達でした。会社の存続を考えて立ち上がった採用活動を始め、工事現場での死亡事故により、次々と今まで体験してこなかった事に直面する事が多かったといいます。 しかし、たとえその行動が結果として現れなくても、その中に全力で挑む姿勢と、どんなことからも気づきや学びを得る姿勢には、本当に驚く様なお話ばかりです。 社員が会社の存続を真剣に考え、お客様と社員に向き合うという事が、齋藤社長を信頼してついてきてくれる事に繋がっていると感じます。その強い思いがあったからこそ、チャンスを的確に捉えて形づけることが出来たのだと思います。ここに、会社という組織に向き合った一人のストーリーを目の当たりにしました。 >この記事の続きはこちら br> br>
夢や目標を与える組織を作ることが患者から愛される医院になる
──── ヨリタ歯科クリニック 寄田理事長
ライバルはディズニーランド、と歯科医という場所とはかけ離れた対象を上げて語るのは、理事長の寄田氏。しかし、医院がどうあるべきかを10年以上考えた末、出した答えは「スタッフに愛される医院へ」。患者の方ばかり向いていても、一緒に医院に関わる人達に愛されないのでは意味がない。そこに気づいてからは、医院の改革を行っていく寄田氏の姿があります。未来を信じ、理想の姿をみんなに語り、自分を信じ、プラスのことを口にするようにしているかによっても、これら要素が組織変革の重要な位置付けとなっています。トップの働きかけによって、周りを変え、人を変えていく、このエネルギーと熱い思いを非常に感じたインタビューです。 >この記事の続きはこちら br> br>
大競争時代を乗り切るカギは協働力にある
──── 財団法人横浜市緑の協会 橋本理事長
官に民の良い部分を取り入れよう、「指定管理者制度」が平成15年に出来てから、本当に良いものを提供出来るようにと、そこに向き合う姿勢が変わったと話すのは、横浜市緑の協会 理事長 橋本氏。 既存事業の延長戦から抜け出さない、そんな閉塞感を打ち砕く改革の意識が、新たな風を起こしています。 人と人とが、「協働力」となって組織の活性化を生めることに、希望があったからこそ出来た試みだったと感じます。「あるべき姿を目指して」と語る橋本氏の言葉には、まだまだ可能性を秘めた、今後の成長が期待されます。 >この記事の続きはこちら br> br>