2007年3月アーカイブ ..

株式会社Hanoi Advanced Lab
代表取締役 佐藤 道明さん

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    オフショア開発のプロジェクトマネジメントに学ぶ、マネジメント論

    スキルや経験、得意分野──マネジメントは、さまざまな個性を持つメンバーをいかにまとめるかという命題との戦いでもあります。バックグランドの異なるメンバーを1つのゴールに向かって率いるマネジメントとは。株式会社Hanoi Advanced Labの佐藤道明代表取締役に伺いました。

  • 株式会社Hanoi Advanced Labhttp://www.hanoi.jp/

    『「IT」「アジア」をコアとして、次の世代に何かを残す』を経営理念とし、2006年に設立。ベトナムのハノイに開発拠点を持ち、"仕様書通りに作る欧米型の開発"とは一線を画した"練りこむオフショア開発"を手がける。

    MICHIAKI SATO

    1966年生まれ。1989年に(株)リクルートに入社。自社の情報システムの構築を手がけ、インターネットビジネスの立ち上げにも参加。99年に (株)MedioPortを設立し、取締役に就任。2002年に(株)Harapanを設立し、代表取締役に就任。06年に(株)Hanoi Advanced Labを設立、代表取締役に就任。

  • 短期的な利益率を重視しすぎると、
    プロジェクトの「目的」を見失ってしまう。

    ────日本でシステムを設計し、プログラミングはインドや中国などの海外で行う『オフショア開発』と呼ばれる手法がIT業界で広がっています。御社はベトナムに開発拠点を置かれていますが、他社とどのような差別化をされているのでしょうか。

    オフショア開発での差別化を考えるときには、ポイントが2つポイントあります。1つはインドや中国といった他国でのオフショア開発との差別化。もう1つは、ベトナムでオフショア開発をすると決めたとして、ではなぜ弊社が選ばれるのかという点。

    まず、前者についてですが、インドや中国を拠点に普及してきたこれまでのオフショア開発は、"設計書通りに作る"ということが主流になっていました。つまり、設計書に書いていないことは「書いてないから作っていません」ということ。これは、欧米型の開発技法とも言われています。

    一方で日本に従来からあるシステム開発は、練り込んでいきます。人間の頭で考えていることをプログラムにするわけですから、設計書にも漏れは必ずある。だから、設計書は全体の7割や8割で、後は作りながら練り込むことが必要になります。その代わり、コストや時間はかかります。つまり、欧米型のオフショア開発か練りこむ日本の開発か、どちらを選ぶかということが、これまでだったように思います。

    そこに対して当社は、"練り込む日本型の開発がオフショアでできます"ということなんです。プログラミングの拠点はベトナムですが、設計やテストやプロジェクトマネジメントはすべて日本で、日本人と日本に駐在するベトナム人とが行います。日本で設計を経験したベトナム人のSEがベトナムに戻ってプログラミングにあたったり、逆のパターンで現地のプログラムリーダーと日本駐在のSEを入れ替えたりといった、人の還流も意識して行っています。

    これには意図がありまして、我々は、システム開発は決して目的にしてはいけないと思っているんです。システムは手段であって、本当のゴールはその先にある。そのことはプロジェクトのマネジメントでも重視しますし、メンバーに徹底するために日本とベトナムの間で人も還流させる。そうすることで、本来の目的にまで入り込んだ開発をオフショアでできるということが、当社の差別化の一つになっています。

    ────オフショア開発を手がける企業の中では、御社のような考えは少数派なのでしょうか。

    メインではないと思いますね。短期的に見ると、当社のようなやり方は利益率が良くないですから。通常は、仕様書通りにプログラミングしたら終わりなんですね。けれども当社は、仕様書を見直すこともあるし、設計に戻ることもある。もちろん、すべてがそうというわけではないですよ。なるべく戻さないようにはするものの、システム開発の本来の目的に向かっていくためには、戻しは必ずあるんです。「競合会社がこんな事をはじめた」「人事構成上半分の人数で運用をしないといけなくなった」などのように、「外部要因」「内部要因」は刻々と変化している。だから、システムも変わっていくのは当り前のことだと思います。

    ですから、ときには「このシステムは作らないようにしましょう」ということまで含めてプランニングします。「エクセルか何かでやるだけにして、1年後にまた声をかけてください」と言うこともある。当社の一番の特徴はプランニングにありますから、そうして少しずつ信頼を得るしかないと思っているんです。

    これが、いわゆる欧米型のインドや中国でのオフショア開発に対する差別化ポイント。では、ベトナムでのオフショア開発の中での差別化はといいますと、当社はその中でも最先端の技術を扱っています。今、ベトナムでは、携帯の組み込みソフトといった非常に簡単なプログラミングが多いんです。でも当社は、それはしません。「アドバンスド ラボ」なので最先端のものを扱います、という特徴づけをさせていただいています。

    組織に階層ができると、
    コミュニケーションが分断されてしまう。

    ────実際のプロジェクトでの、プロジェクトマネジャーの役割はどのようにお考えですか。

    マネジメントで一番大事なのは、目指すものをメンバーに最初にきちんと伝えたり、開発していく中で目指すものがぶれないようにコミュニケーションを取ることだと思います。お客さまの要望が最初の計画から変わるということは、やはりあるんです。それは仕方がない。内部要因と外部要因が変わればシステムや提供サービスは変わりますから。そうしたときに、「なぜ変わるのか」ということ各メンバーにきちんと伝えられる能力がとても大事だと思っています。「何のために作るのか」「なぜ急いでいるのか」「なぜ時間をかけるのか」「なぜこの料金でやるのか」といったことも含めて。

    ────プロジェクト内のヒエラルキーはどういう構造になるのでしょうか。

    ヒエラルキーはあまり作りたくないと思っています。ですから、"マネジャーとそれ以外"という構造ですね。ベトナム側にもプロジェクトリーダーを立てますが、プロジェクトマネジャーから見ればリーダーも特別ではなくて全員の一人、という位置づけ。リーダー以下のチームで決めたことをその中で共有するということはありますが、マネジャーからリーダー、リーダーからその下へといった情報の伝達は、なるべく減らそうとしています。今はSkypeもありますし、メールもありますから、全員が情報を共有することが当社の基本です。

    ※Skype:インターネット電話の無料ソフトウエア

    ────ヒエラルキーを作らないのはなぜなのでしょうか。

    全員が同じように情報をつかんで、各自の中で動いてほしいからです。ヒエラルキーは効率がいいように見えますが、全体のことを考えなくなるんです。階層を作ってしまうことで、情報の流れが分断されてしまう。その代わり、ヒエラルキーを作らないことでロスは生まれますし、失敗もある。でも、失敗とロスはあっていいと思っています。

    ────失敗やロスは、具体的にはどんな場面で起こるんですか。

    プロジェクトマネジャーは全員に向けて話すことになるので、ある人は10割分かっているのにある人は5割ということが、ときにはあります。その中で「なんだこれ、違うじゃないか」ということが後の工程になって出てくるということもある。

    ────それは危険なことではないですか。

    危険です(笑)。システム開発のプロジェクトマネジメントとしては、恐らくNGでしょうね(笑)。でも、個人の成長はこのやり方のほうが速いんです。情報を全員に同じように流し、自由度をなるべく広げていますから。

    ────個人の成長のためには、失敗やロスも容認するということですね。

    そうですね・・・、失敗しても取り返せるように、大きな意味でのリスクマネジメントはしますが、"失敗をしないように"ということにはコストをかけていないですね。

    ────それよりも同じ情報が全員に行渡るメリットのほうが大きい。

    大きいです。我々はプロを作ろうとしているので、個人の成長も含めるとメリットは大きいですね。

    社員の能力は、均一である必要はない。
    目指すのは、各人が得意分野を持つ"プロの集団"。

    ────プロとはどういう人のことですか。

    何かをやる上でのものさしを、きっとそれぞれが持っているんだと思うんですが、周囲と話しながらお客さまや会社のメリットを視野に入れてものさしを調整し、最終的に行動をする人、です。例えば、「僕はきれいなプログラムを書きたい」という人は、そのことを周囲に分かってもらいながら、"きれいなプログラム"がお客さまや会社のためになるように自らベクトル調整をする、といったイメージでしょうか。

    ────「僕はきれいなプログラムを書きたいんだ」という人も、OKなんですね。

    そういう人のほうが、私はウエルカムです。全員が同じような志向やスキルである必要はなくて、自分の好きな形でいいんです。本来、プロというのはそういうもの。例えば「設計が好き」とか「営業が好き」、「新しい技術が好き」「ベーシックな技術を徹底的にやりたい」とか。自分が得意な、やりたい方向性で邁進してもらえればいいんです。それを会社としての形態に結びつけるのは、経営者の役割ですから。

    ────そうすると、マネジャーの方は一人ひとりの得意分野や方向性をしっかりと見ることが大切になりますね。

    恐らく最初はそうなんでしょうが、できれば一人ひとりが自らそれをしてほしいと思っています。例えば、「あの人はこういう仕事が好きで、こういう仕事はしたくない」ということを、みんなが知っているわけです。で、「好きなんだから、しょうがないね」と。したくない仕事をしてもあまり効果があがりませんから。

    ────そういったあうんの呼吸が生まれるような状態にチームを持っていくコツは何でしょうか。

    ジョブを通して得意分野を明確に出せるものが必要だと思います。1つは、メンバーの "スキルマップ"を作り、この4月から運用する予定です。「フレームワークは何を使いこなせますか?」「データーベースは?」というスキルであったり、「プログラムよりも設計のほうが得意です」といった志向を全員で共有するためのフォーマットです。

    そして、そのスキルマップを置きながら「あなたは今年、何を目指しますか」、「3年後は何を目指すんですか」と言った方向性付けをしていく。SEになりたい人もいるだろうし、プログラムを書き続けたい"スーパープログラマー"がいてもいいと思ってるんです。大切なのは、スキルマップを自分で考えて、目標を設定して、できている・できていないということを、自分も周りも確認すること。評価や査定としてではなく、マネジャーも本人の志向や目標に合ったジョブがないかを見ながらやっていくし、技術者同士も「この人はこういうことを目指している」といったことを見る。

    例えば、プログラムを見ると、「こいつのプログラムはダメだよ」といったことって分かるんですよね。けれども、スキルマップで本人の方向性がつかめていれば、「この人が目指すのはプログラミングではないから、しょうがないね」ということも分かる。そういったメンバー同士の呼吸がうまくできて、自分の得意領域でリスペクトされて満足感を得られればいいなと思っています。

    マネジャーの最大の役割は、
    プロジェクトのゴールをメンバーに浸透させること。

    ────自分自身の得意分野に没頭するあまり、他のメンバーに意識が向かないということはありませんか。

    それは、少しだけマネジメントを入れないとダメですね。例えば、正しいプログラムを書くこと自体は個人的には非常にバリューのあることですが、それだけではダメですよね。システム開発の目的は違うところにありますから。これだけは最大のルールなので、プロジェクトのゴールはプロジェクトマネジャーがきちんと説明しないといけない。その中で、あなたは何がやりたいのかということです。

    また、プロジェクトが始まる前に、ルールを決めるということもします。例えば、先日手がけたプロジェクトは、B to C の"新しい仕組み作り"だったんですが、お客さまが目指していることもまだ固まっていない状態でしたので、プロジェクトでは"役割分担は決めるが、領域は作らない"ということをルールにしました。やわらかく進めることが必要なプロジェクトで役割分担を作ると、隙間ができるんですね。ですから、「他の人も担当も自分のことだと思って、みんなで領域をどんどん重ねていこうよ」という約束を作りました。

    ────世の中一般で言いますと、どうすればゴールをきちんと伝えられるかに悩むマネジャーの方も多いのではないかと思います。

    当社でいう"ゴール"は、"このプロジェクトは何のためにやるのか"ということですが、それをメンバーに伝えるにはお客さまともゴールを握っていないといけないんです。もしかすると、握るべきお客さまは先方の窓口の方ではないかもしれない。先方の経営者であったり、実際にシステムを使う方だったり。B to CやB to Bのシステムであれば、その先の消費者や顧客かもしれない。どこを見るかによって、ゴールは違ってきます。ですから、"何を伝えるか"ということ以前に、"お客さまのどこを見るのか"が最も大事なポイント。これができるかどうかが、プロジェクトマネジャーの力量なんですね。

    さらに、ゴールをカットオーバーしたときに置くのか、1年後なのか2年後なのかによって、また違ってくる。お客さまはカットオーバーした時点での効果を期待するかもしれないけども、例えば「今回の目的から考えると、2年後や3年後までにうまく運用できるようにPDCAを作る仕組みを入れましょう、その代わり初期コストは5割くらいに抑えましょう、そして3年後にこういう形で流れていくようにしましょう」ということが、お客さまと話せるかどうか。これはもう、プロジェクトマネジャーの力量にかかってくることだと思います。

    ────プロジェクトマネジャーの力量は、どのように育成されているのですか。

    これはもう、育成ではない気がしているんです。やはり、経験ですね。さらに言えば、そういう価値観を共有できる仲間を採用するしかないんですよね。当社のようなやり方は、あまり儲からないんです。といっても、こんな風に一種わがままな形でやらせていただいても大丈夫なコスト構造は持っています。でも、儲けることだけを考えるならもっといい方法が他にある。それを、あえてこのやり方をするということを受け入れられる人でないと難しいと思います。

    ただし、そのためには時間軸を長く、3年などではなくて10年タームぐらいの長さで持たないといけないんです。「10年後にベトナムに次の世代に残るこういうものを作ろう」というゴールを共有して、今はそのためのフェーズだという共通認識がある。きちんとしたお付き合いができるお客さまを一社ずつ作っていって、「やはりあそこが本当にいいよ」と言っていただくことが、マーケティング的にも一番良いということだと思っています。

    ですから、大きなベクトルは一緒。でも、短期間で見るとズレは出てきます。何でもそうですけどほんの少しズレるんですよ、必ず。けれども、5年後や10年後に目指す夢を共有していれば、少しのズレは構わないと思っています。

    ────プロジェクトメンバーの方々へは、ゴールをどのようにお話されるのですか。

    ことあるごとに、ですね。ベトナムとは離れていますけども、Skypeやメールを使って、日本に来たりベトナムに行くときは食事もして。オンとオフと両方で、一つか二つのことを何度も何度も繰り返します。少しずつ苦労して、みんなずいぶん理解してくれるようになりました。やはり苦労しないとダメですね。失敗して、喧嘩もして。修羅場をある程度くぐらないとダメなんですね。

    自分のためだけでない目標が持てれば、
    それが強いモチベーションになる。

    ────社員の方々のモチベーションを維持、向上させることについては、どのようにお考えですか。

    経営者の役割の中で、もしかすると一番大事な仕事かもしれないと思います。ただし、モチベーションを向上させるということを、テクニック論にしないようにしようとは思っているんです。

    先ほどもお話した例が一番分かりやすいんですが、一般的にはプログラムだけを書いていたら、そのうちに「SEになってくれ」「プロジェクトリーダーになってくれ」と言われます。この業界は単価商売ですから、優秀なプログラマーでも単価はSEの半分くらいだったりする。そうしたら会社としては、高い単価でやってほしいですよね。でも、「マネジメントはしたくない。プログラムを書いていたい」と、本人の希望はただその1つ。これを"ワガママ"とするか"良し"とするかといったら、私は"良し"としたい。"良し"として、そのことをみんなでリスペクトするのが一番のモチベーションアップだと思うんです。

    けれども、これだけでは足りなくて、それでもやはり仕事をしていて疲れることってありますよね。そこでモチベーションを上げる何かが、プラスして必要なんです。まずは、私自身のモチベーションを上げるものが必要だと思っていまして、それを、今、作ろうとしています。

    ベトナムの代表もそれは同じで2人で考えていることなのですが、テーマはスキルアップといった個人のものではなくて、次の世代に何を残せるのかということ。私の娘やベトナム代表の子どもたちの世代に何か残るものを作っていこうということを、ベトナムの代表と2人で考えているんです。為替の差のおかげで、私たちの資金規模でもベトナムでできることがいくつかあるんです。

    ────それはどのようなものなのですか。

    一つは、ベトナムの中部、ハノイとホーチミンの間にある自然の豊かな街に、300人規模のシステム工場のようなものを作って、システム開発のIT専門学校も併設するという計画を考えています。そんなに夢物語ではないくらいのコスト計算でできるんですよ。

    もう一つは、今年の1月から『HAL基金』というものを始めました。ベトナムでは、農村の方って現金収入が少ないんですね。食糧はとても豊かな国ですので生活には困らないんですが、若い人たちが大学に行くとなると都市に出ることになりますから、現金がなくて苦労する人も多い。そういった方々に月々の生活費の半分を『HAL基金』が援助するという仕組みです。今年度の対象は5人だけですが、来年度は10人や20人の規模にできればと考えています。

    なぜこういうことを考えているかと言いますと、日本のこれからを考えたときに、やはりアジアとの関係はますます深くなっていくと思うんです。そうしたときに、ベトナムやタイといった東南アジアは非常にいい国々ばかり、日本とそれらの国とのビジネスの基盤を作っていきたい。一緒に商売をしたり会社を運営する仲間って、喧嘩はするけど、とても信頼関係があるんですね。信頼関係があれば、戦争などは起こらないじゃないですか。

    ですから、そんな基盤を、私たちができるITの中で作るというのがHALの仕事。ITは初期投資が少なくて済むうえに、市場はワールドワイドです。フラットな世界で勝負できる。ということは、実は後進国といわれている国のほうが有利なんです。コストが安いですから。しかも、ベトナムには知的水準が高い人が多い。

    恐らく、当社のメンバーの人たちもみんな同じ気持ちになってくれるはずだと思っていますし、そういう人たちだけが仲間に入ればいいなとも思います。自分のスキルアップだけではなく、将来に何かを残すということをモチベーションの源にして、そのための目標を明確し、言葉にして、具体的な事例にもして、それに賛同する人を採用する。賛同した時点で、それがモチベーションになりますから。規模が小さいからできることなのでしょうけれど。

    ────そういった目的を共有できる組織は強いと感じますが、社員の方々に目的やその考え方を伝えるのも、マネジャーや経営者の大切な役目といえるのでしょうか。

    まったくその通りでしょうね。特にベトナムは、きちんとした言葉にしないと通じない文化なんです。いくら日本語が通じたとしても、こちらがきちんと言わないといけない。つまり、自分の考えもきちんとしてないと伝わらないんです。海外と仕事をすることは、自分のためにも勉強になりますね。

    ────仕事だけではない目標があるというのは、いいですね。

    仕事は手段ですからね。もちろん利益の基盤がないとできないことなので、そこは大切にしていますが、それだけだと、利益が出たとしても疲れてきてしまうんです。その先にもう一つ、何かがないと。社員のモチベーションを上げることも大事ですが、経営者の仕事としては、自分のモチベーションを上げることが最も大事だと思っていまして、疲れないようにするにはどうすればいいのかを考えて行き着いたのが、今お話した目的。これを考えるとすごく楽しくて、この頃元気になりつつあります(笑)。

    ────ありがとうございました。

コントロールプラス株式会社
代表取締役 村田 マリさん

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    クリエイティブ集団に学ぶ、社員が力を発揮するための仕組み作り

    目標管理制度や成果報酬など、社員の力を引き出すための施策は数多くあります。しかし、制度を導入してもうまくいかない企業がある一方で、制度に頼らずとも社員が力を発揮できる環境を提供している企業もあります。社員のモチベーションとは。働きやすさとは。コントロールプラスの代表取締役 村田マリさんに伺いました。

  • コントロールプラス株式会社http://www.ctrl-plus.jp/

    2005年設立。ウェブ制作全般を受託するクリエイティブ事業とクチコミ情報サイト『デート通.jp(http://www.date2.jp/)』を運営する自社メディア事業を展開する。オフィスは天然木をふんだんに使用したメゾネットマンション、PCも含めて什器はすべて白で統一。既成概念にとらわれずに創造性を追及するクリエイティブ集団。

    MARI MURATA

    1978年生まれ2000年にサイバーエージェント株式会社に入社。子会社設立も含めて6事業部の新規事業に携わり、ウェブ制作会社の東京支社立ち上げに参加した後、04年に退職。2005年3月に現社を設立。

  • "組織作り"を明確に意識して起業。

    ────2005年3月の設立から3年目に入られました。これまで、組織をどのように作ってこられたのでしょうか。

    女性の起業というと個人のフリーランスのような形で始めて、仕事が増えるにつれて3人になり、5人になりと組織化していくというケースも多いと思うんですが、当社は組織化を前提にスタートしました。ですから、最初は私一人で立ち上げましたが、私と同じ動きができるものを組織として持とうと思って、必要な能力を5つのパートに分けてスタッフを5人採用し、それぞれ各パートを任せるという形を、かなり早い段階で作ってしまったんです。

    ────最初から組織化を念頭に置かれたのは、何か意図があったのですか。

    初年度に一億円を売り上げたいと考えたんですが、私一人では限りがあるんですね。でも、この5人とのセットなら倍の案件を受けられますし、もう5人いれば3倍になる。"一億円"は、"女性が一人で立ち上げるからには一億は売らないと"という感覚的な数字でしたが、そのための組織化は最初から意識していましたね。

    ────必要な5つの能力とは、具体的にはどのようなものなのですか。

    営業、企画、デザイン、コピーライティング、デザイン、コーディング(プログラミング)、です。真っ先に採用して私から切り離したのが、手を動かさなくてはいけないデザインとコーディング。その後にライター、次に営業を採用していったという形です。

    会社としても5年計画でいろんな目標を持っているんです。1年目は受注が回る体制を作ること。2年目は、私がプレーヤーとして動かなくても回る仕組みを作る。3年目の今年は、クオリティコントロール。プレーヤーの個性によってクオリティにバラつきが出ていたものを均一化してレベルをグッと上げるために、今年度はヘッドハントで30代のプレーヤーを増やしたんです。社内の平均年齢も3歳くらい上がる程、大人のプレーヤーを増やしたので、クオリティも安定して出せるようになりました。次年度は売り上げを拡大できる仕組み作りがテーマになっています。

    ────将来は、どれくらい先まで見通しておられるのですか。

    5年先くらいまで、ですね。5年目が終わる2010年には10億は売ろうと、それはもう宣言しちゃってるので。どうやって実現するかは今、考えながらなんですが(笑)、そのための種まきとして2007年はクオリティコントロールの年。来年は2、3人でオペレーションするだけで売り上げが数億円上がるようなビジネスを作らなくてはいけないので、新規事業の種まきを今、一生懸命しています。

    社員の採用基準は、"うちの会社っぽい人"。

    ────社員の採用はどのようにされているのですか。

    起業したときに私は26歳だったんですが、26の女性が立ち上げた会社にわざわざ転職してくる人はいないんですね。だから、インターネットに興味があって制作ができれば誰でもいいということで採用していました。大学の同級生から「弟がホームページ作れるんだけど雇ってもらえないか」とか、前職で知り合ったインターンの美大生が、大学を辞めてウェブの仕事をするっていうので来てもらったり。

    それが1年くらい経つと、雑誌に出たりするようになって会社の知名度も上がってきたので、当社のサイトのスタッフ募集や人材紹介会社を経由した応募も来るようになりました。でも、いわゆる求人サイトに求人広告を出したことってないんですよ。今、正社員が17人、契約社員とインターンが5人で、合計22人のスタッフがいますが、人材紹介会社経由が4人、当社のサイトから応募してきたのが3人。あとはみんな、社員の知り合いです。

    ────知人の採用は、うまくいくケースと裏目に出るケースに分かれるように思います。御社はいかがですか。

    当社はうまくいっていますね。結果的に見ると、今いるメンバーの性質が非常に似通っているんです。人当たりが柔らかくて、周囲のことも配慮できて、どちらかというと大人しいタイプ。その友達は同じように、柔らかくて大人しい人が多くて、メンバーからも「うちの会社っぽい人が友達にいます」という感じで紹介があるんです。社内の共通の意見として"こういう人がコントロールプラスっぽいのではないか"というのがある。逆にガツガツした人が面接にくると、「ちょっと違うよね」って私がNGを出しちゃう。同類が集まった"類友"みたいなところで、コミュニティがまとまっているんです。

    ────"うちの会社っぽい"という共通認識は、起業後どれくらいするとできるものなのですか。

    この1年、特にこの半年くらいですね。起業の当時も"クリエイティブな人の集り""ぶら下がり社員は絶対許さない""みんなでいいものを作っていきたい"という組織のイメージは、何となくは持っていたんです。それがフタを開けてみると、採用のジャッジを最終的に下すときに「この人と働きたい」と思う人が一貫していたんですね。集まったメンバーを見て、「私はこういう人たちと働きたいと思っていたのか」ということが今にして分かるというか。

    ────どのようなところが基準になっていたのですか。

    人間性につきます。ウエブサイトの制作が商売ですので技術は必要なんですが、最低限のスキルがあれば、あとは "人がいいかどうか"で決めてますね。

    ですから、面接は1対1で1時間程度の時間をかけるのですが、事業説明をしたあとは会社のマインドを話すようにしています。「新しいインターネットサービスを作りたい人の集まりなんですよ」「職人のようにコツコツと取り組む人が多いですよ」「給与を労働時間の対価と考えるなら当社ではないほうがいいと思いますよ」と。結果として入社したのは、何かを突き詰めて掘り下げたい研究肌の人がほとんど。「分からないことがあるけど、まあいいか」という人はいなくて、どんどん自分で調べて、作って、みんなに「すごい」と言われるのが喜びというタイプの人しか採ってないんですね。

    周囲にも「コントロールプラスはマニアックな人が多い」というイメージが定着しているので、業界内の知人から「御社っぽいと思う人がいるけど、紹介していい?」と言われたこともあります。

    マニアックな人の中にはコミュニケーションが上手でない人もいますが、そういう人たちの技術力を当社は高く買っているんです。みんなで新しいものを生み出そうという向上心だけが会社の原動力なので、そういう人たちにはカウンセリングではないですが、定期的に面談をするなどしてサポートして、働きやすい環境を作ってます。

    ────"自分の強みでここにいていい"というのはうれしいですね。組織に適応するために無理な自分で頑張らなくてもいいんですね。

    そうですね。

    経営者の仕事は、社員にとって居心地のいい空間を作ること。

    ────向上心のある方を会社に引きつけておくための秘けつは何でしょうか。

    "向上心"といっても、"技術力の向上"と"キャリアアップ(年収の向上)"とでは違うと思っていまして、"技術力の向上"でいえば、やる気さえあれば日中どのように仕事をしていても構わないという環境にしています。音楽を聴いても、突然スターバックスに行ってしまっても構わない。そういった自由な中で自分の能力を上げる努力が認められるのであれば、ここでいいかなと思っている人が多いですね。年収を増やしたいといったガツガツした人は採っていないということも大きいと思いますが。

    ただ、「会社がこういう成長スピードで行こうとしている」ということだけは明確に言っています。例えば、今期であれば"クオリティコントロール"。「クオリティの悪いものを独断で顧客に出すことは、絶対にしてはいけない」ということだけは徹底的に伝えます。会社が「これをしてはダメ」ということと、「これをしてください」ということさえしてくれていれば、あとは自由。

    ────クリエイターの方がやりたいと思える案件があるかどうかもポイントでしょうか。

    それも、意識していますね。会社の目標と個人の目標は別だと思っていますので、一人ひとりに対して何の能力を上げたいかということをきちんとヒアリングしているんですよ。「5年後、10年後にどうなりたいか。そのためにはこの1年は何をしよう」というのを、具体的に確認する。例えば、「このワンクールはプログラミングのJAVA Script(ジャバスクリプト)を突き詰めよう」とか。それを実務で学べる案件をきちんと織り込んでいくので、その辺でやりがいは持てるかもしれないですね。

    ────そのヒアリングはどなたがされるのですか。

    事業部長もしますが、最終的には私が全員と面談します。ですから当面は、社員は30人以上にはしないようにしようと思っているんです。自分で見きれる範囲まで。本当は20人までと言っていたのが、気づいたら超えていて(笑)。でも多くても30人まで、ですね。

    ────そういった向上心の強いクリエイターの方たちが満足して働くために、一番大切なことは何でしょうか。

    居心地がいい空間を作るということが一番気をつけていることで、やりづらいと思う状況を作らないことじゃないでしょうか。例えば、オフィスに長時間座っていると閉じ込められている感じがするとか、そういうのを取り除くためにこういう(メゾネット式の)オフィスにしたりとか。今、ここの2階から7階まで3軒分に入居しているんですが、なるべくオフィス内の移動を多くして視界や気分を変えようとしてるんです。

    ────机やパソコンも白で統一されてますよね。

    そうですね。ここは住居用で家賃が安いんですが(笑)、その分、インテリアにはお金をかけてますね。

    ────物理的な空間以外に心がけておられることもあるのですか。

    おやつを配ったりといった小さいことなんですが、みんなずーっと一緒にいるので、いかに楽しく健やかに過ごすかということには関心を持っていて、誰かが営業帰りにお菓子を買ってきたり、お客様からの頂き物をみんなでお茶淹れて食べたり。フルーツなどもときどき配りますし。

    ────初期の頃は、社内にあるキッチンで昼食も作っておられたそうですね。

    作ってましたね、3人くらい料理の好きなスタッフがいるので。夜も大鍋でスープを作ったり。さすがに社員数が10人を超えるとできなくなりましたが、夏にそうめんを茹でたり、おやつにチョコバナナを作ったりというのは今年度もしましたよ。受験生みたいに朝から晩までずーっとパソコンに向かっているので、「お夜食よ」みたいなタイミングがないと、みんな疲れちゃうと思うんですよね。

      

    苦手な仕事は、しなくていい。
    得意なことに集中することが、人を伸ばす。

    ────自分の苦手なことを申告する制度もあるそうですね。

    ありますよ。やりたくないときは、「やりたくないです」と言える制度ですね。苦手な仕事は、基本にはさせない方針なんです。得意な人がしたほうが効率がいいですし、全員が平均的に同じ能力を持つ必要もない。自分の得意分野は必ず持たなくてはいけないわけですが、それが分かれるように採用していますので、ほかのことはしたくないならしなくていいという話をしています。仕事上やらざるを得なくなったものは「誰か交換してください」と言っていいことになっているんです。

    ちょうど今、年度末で受注が増えていまして、私も制作の実務を引き受けているのですが、そうするとだんだん経営のことができなくなって、キャパオーバーになりまして。今日も、「すいません、誰か私の実務を引き取ってください」って言ったばかりなんです。

    ────具体的にはどんな場面でどんな風に言うのですか。

    お願いできそうだなという人に、インターネットのメッセンジャーで伝えますね。毎週の進捗会議で全員の稼働率を出していまして、本人の得意分野と稼働率を見ながら相談するんです。夜の8時、9時ごろには帰れるという状況を稼働率100%にしていて、人によって70%から140%くらいまでの幅がある。それを見ながら「すいません、拾えますか?」とメッセンジャーを送って、「大丈夫ですよ」となれば席まで行って「これとこれをお願いします」と。

    ────断ることもできるのですか。

    できますね。「あー、ちょっとパンパンです」と言われることもありますから。

    ────社長に対してもですか。

    そうです。当社は業務においてのヒエラルキーがまったくなく、お弁当を買いに行くなどのことも私もやりますから、お願いしたことを断られるのもよくあることですね。

    そのほかにも、夜遅くまで残っていたり、忙しそうにしてランチを食べ損ねている人を見つけると「何をしてるの?」というのをみんなが聞くんですよ。それで、本人からはがせる作業があったら、周囲が寄ってたかって引き上げる。例えば4人でバーっと30分やれば、その人1人が2時間かけてやらなくてはいけなかったことが終わりますよね。

    ────通常の会社ですと、そういったとことに対して「その場合の仕事の評価はどうなるのか」といった問題がついてくるように思うのですが、なぜ御社の方々は自然に助け合うことができるのでしょうか。

    評価対象が、数字ではなくて周囲との協調性が大部分を占めているからだと思いますね。売り上げ目標というのは何となくありますが、ノルマはないんです。仮に目標を下回ってもそれは評価には関係しませんし。面談で言うのは、全体の中でいかに周囲のやりやすさを意識して動いているかということ。制作というのはチームワークなんですね。営業から始まって、プランナーがプランニングして、ディレクターが構成を作って、デザイン、コーディングと工程が発生するんですが、どこかがパンパンになって止まると次の工程に行けないんですよ。製造業でいう"ボトルネック"に近いかもしれません。それが分かっているから、みんな助け合うんだと思います。

    ────それは、組織の中で余裕のある人がいるからできることなのでしょうか。

    全員余裕がないときもありますが、パンパンの中でも助け合ってますね。奇跡的にいい人が多いんです。逆に、「自分の仕事が終わったから帰ります」という人がいたら、仕事にあぶれると思いますね。「あの人は頼みづらい」となってしまって。

    ────過去に取材を受けられた記事では、「能力を伸ばすにはキャパシティを超えてみることも大切」と言われていましたが、そのこととお互いに助け合うこととのバランスが難しいように思います。

    「キャパシティを超えることが大切」というのは得意ジャンルの成長においての話しなので、そこは周囲には渡してないと思います。「僕が自分で頑張らなくちゃいけないところなので、やらせてください」って。今、24、25歳のメンバーが多いんです。26、27歳を過ぎると身体的に無理ができなくなりますから、「あと1、2年は歯を食いしばれ」と(笑)。「無理しなくてもいいけど、君の10年後のためにならないよ」というと、みんなやりますよ。事業部長も同じ考えで、何かこう母親のように見守ってますね。

    会社の急拡大は目指さない。
    自社の"色"を守り、社員も組織も大切に育てる。

    ────協調性が評価対象になるというお話がありましたが、評価の仕組みとしてそうされているのですか。

    目標シートのようなものはありまして、それに対してクールの終わりに達成したか否かを査定に反映するということはしていますが、しっかりした評価基準や査定の数値を割り出す法則はないんです。それはこれからの課題ですね。

    ただ、社内でクオリティコントロール用のメーリングリストを運用していまして、そこでお互いに企画書やデザインを批評し合う仕組みを作っているのですが、ほかの人の仕事にマメに意見を返してあげる人は、やっぱり評価が高いですね。

    ────伺っていますと、社員の方々の協調性が高いのは、評価や査定といったこと以外の何かがあるように思います。

    それは、メンバーの人間性が良いということにつきると思います。ネガティブ思考の人がいても、みんなで強制的にポジティブなほうに持っていくようにしますし。

    私自身も働くうえでは、自分が楽しいと思える仕事かどうかということを一番大切にしています。好きを仕事にしてしまっているので一般的な参考にはならないかもしれないですが、メンバーも同じ感覚の人を採用しているので、みんなで「楽しいね」「楽しいね」と言いながら毎日を過ごしているというか。ですから、今まで1回も不満を言ったことがない人がポツっと不満を言うようになったりすると、特に管理職が「おかしい」と反応して、声をかけています。

    ────みなさん、人に対する感受性が高いんですね。

    そうですね。ちょっとした空気を感じ取って動くということは、比較的みんなできますね。

    ────意識してそういう方を採用されているのですか。

    初期はそうも言っていられなくてどんどん採用していたのですが、1人だけ、周囲への対応がとてもうまい人がいるんです。困っている人を見たら声をかけずにはいられない。彼がムードメーカーになって後から入社してくるメンバーがそれに習っているところはあると思います。創業メンバーが会社の色を決めるというのは、こういうことなのかという気がしますね。

    ────先ほど「社員は30人まで」と言われたのは、会社の色を守るという意味もあるのでしょうか。

    そうですね。どんどん採用してしまうといろんなカラーが混ざって、なかなかもとの色に染めづらくなりますから。一度30人で止めて、こういう会社にするんだということを全員で共有できたらまた少しずつ採用していくかもしれないですね。

    ────御社にお伺いする前には、もう少し違った印象を想像していました。

    よく言われます(笑)。行け行けドンドンな会社だと思われて、「ガツガツ営業して、みんな夜中までガリガリやってるんでしょう」と言われますが、そうではないんです。

    ────社員の方に自由に任せているということも印象的でした。

    任せる範囲は区切って必要以上に任せないようにはしていますが、できると思うから仕事を与えるのであって、その中は自由に進めていいと思っているんです。本人のキャパシティ以上のことや、今までしたことがない仕事は私がまず全部やって、やり方を示してからみんなに振るようにしていますし。

    ────社員の方をよく見ていらっしゃるのですね。

    人数が少ないからだと思います。これが30人となると無理ですから。今後大きくなっていくためには、マネジメントクラスが私と同じ動きをすることが必要になるので、今、スパルタで育てているところです。「人を見ろ」と。「空気が変わったら全部感じ取れ」「今のタイミングで声をかけに行け」と、全部指示しています。「あなたの秀でている能力はこれなので、こういうアプローチ方法のほうがいいよ」と話し方も全部指示したうえで面談をさせたりとか。

    事業部長の一人に27歳の女性がいまして8人の部下を抱えているんですが、彼女はもともと制作工程でいうと一番末端のコーディングという業務をしていたんですよ。上の工程からきた仕事をこなすだけなんですが、けっこう要領がいい。人とのコミュニケーションもとてもうまくて、相手の心理状態をサッと見抜いたうえで、アプローチ方法をカメレオンみたいに変えることができるんです。これは絶対にマネジメント向きだと思いまして、いきなり事業部長に引き上げて「君はそういう能力がある」ということを1年半くらいずっと言い続けてきたら、今はマネジャーとして自信を持ってやり始めていますね。で、「次はこういうステップが待っているから」と3歩先くらいまでを示して、2年くらいかけて育てていこうと思っています。

    人の能力というのは、主観と客観で見たときに必ず差があるんです。本人が適正と違うことをやりたいというケースも多々ある。そのときは、「やってみてもいいけど、向いてないよ」と。それで、やらせて失敗して、「どう?まだやりたい?」みたいな感じでやったり。私の仕事は、本人が気づいてない能力を引っ張り上げること。そして、それに対する実務をあてて、実際に経験を積ませて、「できる」という自信を付けさせることだと思っています。

    ────ありがとうございました。

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