OBTカフェ: 2007年11月アーカイブ

最近、社の福利厚生で療術師による足ツボマッサージの施術をしてもらう
機会があった。

-自然治癒力を高める-
足は第二の心臓ともいわれ、全身の器官を反映した反射区が存在する。
足ツボとは、この反射区を刺激することにより、各々の臓器の活性化による
良好な血流の状態が期待でき、結果として全身のバランスがよくなり、
自然治癒力が高まるというからくりだ。

頭が痛いから頭痛薬を飲む。胃が痛いので胃薬を飲む。傷口に絆創膏を
はるなど、日頃のささいな病状や怪我に対して、多くの人はその現象に
対処してしまいがちではないかと思う。
なぜならそれは、即効性があり、一時的には良好であり、いわゆる
"その場しのぎ"の状況でひとまずは難を逃れることが出来るからだ。

しかし、頭、胃、傷口といった局所を見るのではなく、足ツボの効能に
あるように全身を捉えその原因をさぐり、改善しようとすると違った対応に
なるのではないだろうか。

頭痛という現象ひとつをとっても、片頭痛・肩こりからくる筋緊張性頭痛・
心気性頭痛など、その原因はさまざまであり、血管・肩・心というような
原因部分に対する対処、更にはその原因の発生要因を考えていくと、
人間の生命維持の成り立ち、咀嚼・運動・排出というような面にまで
立ち戻っていく必要があるはずだ。

-企業の問題解決も同じ-
そして、このような事は、我々が企業に成さんとすることと相通ずること
ではないかと思う。

企業の抱える問題として、
"離職率が高いので、人件費のかからない派遣社員を起用しその状況に
対処する。""高収入をかかげ社員のモチベーション維持に対処する。"
"顧客対応の悪い支店に対して突発的にCS研修など実施する。"
とういうような状況は、問題に対する一打開策にはなるものの、核心に
触れる部分での対応をなんら行っていないため、違った側面からの新たな
問題の発生や、結果的な状況の悪化が予測される。

組織として、
"なぜ離職する者が後をたたないのか"
"社員のモチベーションが上がらないのはなぜなのか"
"その組織に属するものとして顧客を満足させるとはどういうことか"という
問題の原因や、企業の目的に対するビジョンを常に明確にするなどという
ところに立ち戻り、それまでの制度や仕組みを改善していくという取り組み
こそが必要なのではないかと思う。

-その場しのぎは続かない-
人間の体と同様に組織もまた、目前の出来事に対する対処を強いられると
ついその場しのぎの繕いを図り、あたかも上手く成り立っていると上辺だけで
事の収まりがついたと捉えがちだ。
しかし実際は、組織の中は混沌としていて少数精鋭のわずかな人々が、
どうにか効力をきらさないように回しているとか皆が業務に追われて目的や
あるべき姿というものを見失っている状況というように、強固な組織体とは
到底言えない事態が蔓延っていることはないだろうか。


今起こっている問題に対応する、この現実的な時間の流れを酌みつつも、
企業全体としてみたときに人事制度や業務全体の抜本的な見直しをはかる。
あるいは、我々のような外部の介入で思い切って歪みに切り口を入れてみる
など、解決にむけた長期的な取り組みを行うことこそ必要なのではないかと思う。
 
                 On the Business Training 協会   坂本 晴香

仕事をする上で、様々な企業の取り組みやその企業の創業者、
世界規模での環境変化や業界における変化など外部環境について
調査することが多い。

-外部環境の変化-変わるモノ
最近では、人口構造の変化によるヒトの希少価値化や次世代法による
女性の活用、あるいは、会社法の改正など企業は外部環境の変化に
よって大きな転換を迫られている。

人財の育成・活用という点で、主要企業が共通のテーマとして挙げているのが
・ダイバーシティマネジメント (特に女性活用や再雇用など)
・グローバル化への対応 (グローバル人材の育成など)
・企業風土の改革や浸透                
などである。

そして、そのために大規模な研修施設の建設や
多様性を活かすための風土改革に積極的に乗り出している。

一方、このような急激に変化する時代の潮流の中で、その変化に気付かない、
もしくは気づいても対応が遅いなど、変化に取り残され、衰退する企業も
後を絶たない。

これらは、変化するモノと変えるべきモノの一例であるといえる。

-人間の性- 変わらないモノ
また、変化しないモノの例としては、「人間の習性」があげられる。
「変化を好まない習性」「地道な努力をせずに近道をしようという認知的節約」
など、意識して自分を律していないと「今がよければいい」「楽をして成功したい」
という気持ちから安易な方向へと流されていってしまう。

企業が成長し安定期に入ると、過去の成功体験に捉われ、無駄がはびこり、
新たなことに挑戦しようという気概が失われていく、大企業病という
病気にかかりやすくなる。
居心地の良いぬるま湯につかっているうちに、創業メンバーが苦労して
創り上げてきたものまでがこの病気に侵されてしまうのである。

-強い企業-
強い企業として、私が思い浮かべる企業の一つにセコム株式会社がある。
警備業というそれまで日本にはなかった分野で新たな道を切り拓き、成功を
収め、その後も「安心・安全」を実現するために、常に新たな事業を展開しながら成長を続けてきた。

常に変化しているように見えるこの企業だが、そこに根付いた起業家精神、
そして安心・安全のためという目的を見失わない本質を見極める力など、
その企業風土、創業当時から受け継がれるDNAは変わらず、そこにある。

時代の流れの中で表現する言葉や商品は変われども、その経営哲学や
目的の根底には決して変わらない精神が存在している。

-本質を見失わないこと-
変化への対応はもちろん必要で、そのために抜本的な改革をすることも
大企業病というぬるま湯体質を脱するためには必要である。

しかし、その一方で、自分たちが目的としているのは何なのか、
自分たちの強みは何なのか。なぜ顧客に受け入れられ、成長できたのか。
外部環境の劇的変化という流れの中で、なんとかしようと焦り、対症療法を
繰り返すうちに、自社の経営の本質や哲学を見失ってはいけない。

多くの情報に踊らされ、自分たちの目指すもの、変えるべきでないモノを
見失えば、どんなに時代に合った施策を取り入れようと、どんなに最新の
設備を導入しようと、それは単なる張りぼてのようなものである。
ただただ時代の流れに翻弄され、流されているだけである。

だからこそ、時にはその信念に基づいて、リスクを抱えても「変えない」という
選択が必要になることもあると思う。

しかし、「変えない」という選択はぬるま湯に浸かって「甘える」というのとは
全く別モノだということを肝に銘じておかなくてはいけない。

今回の『この人に聞く』も前回に引き続き、黒川温泉の後藤さんのお話を
掲載させていただいているが、そのお話の中にも
「やるよりもやらない方がいいこともいっぱいある」というくだりがある。

変化するモノ、しないモノ。そして、変えるべきモノ、変えてはいけないモノ
見極め、全社で共有し、その上での決断力と行動力がある企業が強い企業といえると思う。


                  On The Business Training 協会 四辻香織

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