2011年7月アーカイブ

ついつい画面に、くぎ付けになってしまった。

宮城県  石巻市  谷川浜
日本大震災で壊滅的な打撃を受けた漁場のドキュメント。

目を奪われたのは荒廃した街の姿よりも、
全てを奪い去った海に一刻も早く出ようとする漁師たちのエネルギーに満ちた顔である。
覚悟を決め、自分の身に起こった運命を受け入れて、悟りを開いた人間の顔。

漁師は卓を囲んで毎晩どうしたら漁に出られるかを話し合う。

「政府が何かしてくれることを待っていたら、我々の何もかもが全部終わってしまう」
「とにかく自分たちで、できることからでもやっていかないと」
「奪われたものを、取り返しにいかないと」

真剣に今を生きる姿勢に我が身を振り返り、恥ずかしさを感じると共に、
日々の仕事を通じて思うことがある。

それは、多くの企業人は様々な課題を感じることはできても、
大半は「具体的な行動には移していない」ということ。

「会社的にはまだ、そこまでいっていないから」
「タイミングが来たら、動けるようにしておく」

しかし、いつになったら"その時"が来るのか。
そもそも"その時"が来る保証はどこにもない。

「待っていたら状況は良くなる」「会社が手を差し伸べてくれる」
という幻想を捨てて、今できることから、とにかく自分で、自分たちで動いて、
現状を変えていくしかない。

災害に見舞われた方々の、現状を切り開いていく人としての強さや逞しさから学ぶことで、
日々の生活や仕事で抱える問題の打開策も見えてくるのではないだろうか。


現場ドキュメントに掲載させていただきました日本最高齢のコーヒー店店主
関口さんは、豆の仕入れから豆の熟成、焙煎、コーヒを挽くミル、お湯を注ぐ
ポットにコーヒーを濾すネル。そしてコーヒーカップとコーヒーを淹れる全ての
プロセスの細部まで、すべてこだわっていました。

美味しいコーヒーを淹れるために約80年、本当にたくさんのやり方、
素材や機械を試してこられたそうです。

関口さんは、何故、こう考えたのか、こうしたのか、その時代背景やコーヒー
の歴史なども含め、とても丁寧にいろいろなお話を詳しくしてくださいました。

取材の終わりに、どうして、そんなに輝いていられるんですか?と尋ねると、

「全て、現在をエンジョイしているからじゃないかな。
 嫌々やってるんじゃなく、エンジョイしているからじゃないですか。」

私の周囲で、エンジョイできること、やりたいことが見つからないという人が
多いのですがと尋ねると、

「何かに興味を持ったとしても、
 ちょっと覗いてみただけじゃ、好きになるまでにはいかない。
 だから、実際にやってみるといい。

 なぜ?なぜ?なぜ?と掘り下げていくうちに面白くなっていくもの。
 それが好きになるということじゃないかと思う。

 掘り下げたことが仕事に結びつかなかったとしてもいい。
 後で必ず、自分の力になるから。」


取材の帰り道、関口さんのこの言葉と一緒に、20代後半、「やりたいことが
見つからない」と焦りいろんなものを覗いていた自分を思い出していました。

掘り下げていくうちに、面白くなっていく。
それが好きになること。

まだまだ半人前ですが、この言葉は、今の自分の胸にストンと落ちました。



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