2010年12月アーカイブ

早いもので2010年も残すところわずかとなった。今年も『流行語大賞』なるものが発表
されたが、『ヒット商品』で一年を振り返るのもおもしろい。生活に密着しているモノが
多いので個人的にももちろん楽しめるのだが、なにより、市場の傾向や世相の動向が
ダイレクトに伝わってくるところがいい。

雑誌『日経トレンディ』の「2010ヒット商品ベスト30」によると、今年の1位は"食べるラー油"。
桃屋の『辛そうで辛くない少し辛いラー油』のヒットを受け、各メーカーがこぞって類似商
品を発売、飲食店でも"食べるラー油"メニューが多数登場した。私も某有名中国料理店
のものを手土産でいただいたが、かつて食べたことのない独特のザクザクとした食感と、
ラー油の概念を打ち崩す適度な辛さにすっかりハマッてしまった。

ちなみに「食べるラー油」は『流行語大賞』でもトップテン入りしており、その反響ぶりが
伺える。元々、"食べるラー油"の発祥は石垣島や久米島といった沖縄とも言われてい
る。ネット通販で評判を呼び、特に2004年頃からは、密かに人気が過熱していたようだ。
桃屋がこれをヒントに商品開発をしたのかは定かではないが、いずれにしろ、先見の明
があったということには変わりない。長引く不況による"内食"傾向も手伝って、ラー油の
市場規模は7倍以上にも広がったと言われている。これも計算のうちだとすれば、おそる
べし。

個人的な印象として勢いを感じたのは、朝食マーケットの拡大だ。昨年は"朝カレー"が
話題になったが、今年のヒットは"朝ラーメン"。こちらも元々、福島や静岡の一部の地域
に根ざしていた文化だというが、今年に入り、東京の人気店が次々に市場に参入し、業
界にブームを巻き起こした。傾向としては、通常よりも安価な価格&魚介を効かせたあっ
さり味に設定している店が多数。当初は「朝からラーメン?」とも思ったが、実際に足を運
んでみると、どこも驚くほどの盛況ぶりであった。事実、朝食マーケットの参入により、店
舗の売り上げは確実に伸びているという。

ラー油を"おかず"にごはんを食べ、"朝食"にラーメンを食べる時代が来ようとは、数年
前にどれだけの人が想像したことだろうか。モノが売れない時代でも、ヒット商品は必ず
存在する。消費者の購買欲を生み出すためには、まずは凝り固まった既成概念を打ち
破ることが必要なのかもしれない。


就職活動中と思しき学生の姿を多く見かける時期になった。長引く不況により、就職氷
河期と呼ばれる時代が続いているが、学生の危機感は以前にも増して強まっているよ
うだ。

ある採用コンサルティング会社の調査によると、内定を獲得した学生一人あたりの平均
エントリー企業数は、実に90社にものぼるというから驚いた。それだけエントリーしても、
内定社数の平均はわずか1.1社。就職難と言われてはいるが、これほどまでとは。

会社説明会や就職ガイダンスは立ち見が出ると聞き、「まさか」とは思っていたが、この
数字を知って、昨今の厳しい実情を痛感した。特に、これは昔から変わらないことではあ
るが、文系出身の女子学生の就職活動は輪をかけて大変なのだという。自身が就職活
動をしていた10年ほど前は、表向きには募集を出しているにも関わらず、面接会場に足
を運ぶとあからさまに「女子はいらない」といった言動をとる企業も中にはあったが、いま
はどうなのだろう。

経済産業省が行ったある調査によると、「女性比率の高い企業は利益率が高い」という
ことがわかったという。と言っても女性の比率を上げれば利益率が上がる、という単純な
ものではなく、本当の要因は「女性が活躍できるような風土」にあるのだそうだ。調査に
よると、性別にこだわらず均等施策を行う企業は女性比率も高く、経営パフォーマンスも
よいという結果が出ており、実力のある者を正当に評価する風土が従業員の能力を上
手に伸ばしていくことに繋がる。

いい土壌からはたくさんの収穫物が獲れるのと同じように、風土を改善するということは
優秀な人財を育て、業績を伸ばしていくことと等しいに違いない。

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