2010年2月アーカイブ

先日、生まれて初めて"クレーム"メールというものを出した。
友人の誕生日パーティに、と随分前からネット通販でケーキを予約していたのだが、
注文画面で見た商品とは似ても似つかないほど崩れたものが届いたのである。
返品・再送をお願いする時間もなかったので、仕方なくそれを食べることにしたのだが
せっかくのお祝いムードが台無しになったような気がして
「楽しみに待っていた商品だっただけに、とても残念でした」と素直な気持ちを先方に

送信した。


しかし、待てど暮らせど、返事が来ない。
最初は、「次は気をつけてくださいね」ぐらいの、軽い報告程度のつもりでいたのだが、
連絡を待っている間に、徐々に怒りのような気持ちがこみ上げてきた。

 

結局、丸一日以上かかって先方から連絡が届いたものの、
「商品の状態が悪かったのは配送時の影響かと思われます」といった誠意のない

文面やタイトルにひと言書かれた「ご連絡ください」など、端々に見える乱暴な

言葉遣いにこれが有名店と呼ばれる店の対応なのか、と正直がっかりしてしまった。

 

代金は返してくれることになった。
味も決して悪くない。
ケーキが崩れたのは、確かに業者の配送ミスなのだろう。
しかし、このお店をまた利用したいか、と問われれば、私は迷わず「NO」と答えたい。

 

400を超える店舗がありながら、クレームの数は全店で月に50~80件程度という

幸楽苑。
クレームをきっかけに、逆に幸楽苑のファンにしてしまうぐらいの対応を目指す、と

同社の新井田社長は語る。


相手の気持ちを静めるだけでなく、さらにプラスの印象を抱かせる――
要はどれだけ素早く、誠意を持ってこれに対応できるか、ということだ。

 

もちろん、頭で考えるほど簡単なことではない。
数百という全ての店舗において、その教育が末端まで行き届いている幸楽苑は、
やはり "さすが" と言わざるを得ないのである。

「西武 有楽町店」が今年の12月をもって閉店する。
京都の繁華街・河原町にある商業施設「河原町ビブレ」や「阪急」も今年に入り、

相次いで閉店を発表した。


2009年の全国の百貨店売上高は、13年連続でマイナスを記録。
特に高額商品ほど売り上げの落ち込みは激しいといい、
ファーストリテイリングが発売した「990円ジーンズ」を追随するように、
イオンや西友が激安ジーンズの販売に乗り出したことからも、
消費者の関心が、いかに低価格商品に向いているかということが伺える。

今では、ディスカウントショップ・ドンキホーテが690円ジーンズを扱うまでになった。
大手量販店の多くが衣料品や食品などのプライベートブランドを立ち上げ、

各方面で価格戦争を繰り広げている。

 

低価格志向の波が押し寄せているのは外食産業も例外ではなく、最近では

250円や300円均一を謳った激安居酒屋の看板も目立つようになった。
出される料理も、「レンジでチン」といったいかにもレトルトの風ではなく、

本格的な四川料理や真鯛のかぶと煮といった手の込んだ内容だから恐れ入る。


先日、遅ればせながら「幸楽苑」デビューを果たしたのだが、

午前中だというのに店内は客でいっぱい。
そして、290円という価格のインパクトを上回るクオリティの高さに、二度驚かされた。

 

安い物に人は集まる。
が、安いだけでは「売れない」時代。
低価格で高品質――これこそが、物が売れない時代に、消費者を引き付ける

キーワードなのだろう。
290円の中華そばに、現代におけるヒットの極意を見た気がした。

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