2009年12月アーカイブ


早いもので今年も残すところあとわずかとなりました。
"景気に回復の兆し"と言われながらも、厳しい状況が続いた2009年。
しかし、そんななかで過去最高の利益を達成した企業も少なくありません。

 

今回お話を伺った桑原氏が代表取締役社長を務めるワタミ株式会社も
2009年3月期の連結決算で、売上高1112億円、経常利益61億円と、
過去最高益を達成した企業のひとつです。
不況期にも負けない強い組織力の秘密は組織全体における理念の浸透。
徹底した研修によって、グループ全体約4000名にものぼる社員一人ひとりとの
理念共有を実現しているといいます。

 

他にも、「クォーターパウンダー」や「無料コーヒーキャンペーン」など
斬新な仕掛けが話題を呼び、1~9月期の連結決算で
上場以来最高の営業利益を記録した日本マクドナルドや
既存店の売上高が28カ月連続で同年同月の実績を上回り続け(09年11月)、
6月には25.9%増という驚異的な数字をたたき出した
「餃子の王将」を手がける王将フードサービス。
400万台を売り上げた「プレイステーション3」や
900万台を突破した「Wii」といった家庭用ゲーム機に加え、
発売4日で93万本を記録したアクションゲーム
「ニュー・スーパーマリオブラザーズWii」など、ヒットを連発している任天堂。
低価格競争力と商品性の向上の両立により、順調に業績を伸ばし続けている
「ユニクロ」やインテリアの「ニトリ」などなど。
業界を"ひとり勝ち"しているともいわれる企業の経営戦略が話題を呼びました。

 

厳しい時代こそ、他社と差をつけるチャンスの時。


低価格、話題性、独自性――
商品やサービスのよさはもちろんですが、そこに加わるプラスαの価値が
ひとり勝ちの"勝因"につながるのだと、改めて感じた1年でした。

あるお仕事で関わりのあった日本料理店が、経営不振を理由に突然閉店しました。

本店は、ミシュランガイドで3年連続星を獲得している名店。

その味を継承させた系列店が、オープンからわずか1ヵ月で閉店に追い込まれるとは、
まさに寝耳に水の出来事でした。

 

ミシュランガイドといえば、東京版が発売されて今年で3年目。
その影響力は強く、星を獲得したお店は予約でいっぱいになるともいわれています。

 

その一方で「名誉ある星を獲得したにも関わらず残念ながら閉店したお店もある」

ということを知りました。

今回のような件は例外ではなく、08年版で星を獲得したにも関わらず翌年閉店したお店は4店、
09年版で星を獲得したにも関わらず翌年閉店したお店は2店あるそうです。

 

米国の金融危機による不動産連鎖倒産のあおりを受けた店、食材の産地偽装が発覚した店、
話題性に飛びついて訪れた新規客がリピーターとして定着せず、

従来の常連客が著しく減少した店などなど。

 

理由は様々ですが、ひとつ言えることは、説明責任や危機管理能力の欠如は、
たとえ星付きの飲食店であっても例外なく経営に影響を及ぼすということです。

 

今回、お話を伺ったワタミ株式会社桑原社長は、常に「危機」を意識し、
「計画」、「実行」へと移している印象を受けました。

 

従来のやり方や概念にとらわれず、他業種であっても使える理念や

システムを取り入れる柔軟な姿勢や、業績が好調であっても今後起こり得る「危機」を

的確に予測し、先手を打つ管理能力には目を見張るものがあります。

 

老舗料亭と現代風居酒屋。

 

グラウンドは違えど、「お客様においしい料理や楽しい空間を提供したい」

という思いは同じはず。

伝統的な味や技法、もてなしを守るためにも、老舗にも――いや老舗にこそ、
マネジメントシステムの構築は必要なのでは、と思いました。

 

長きにわたって培ってきた自信と自負を持つ職人の思いとは

相反するところにあるものかもしれませんが、

時代の潮流を見極める目を持つことは大切です。

 

だって、どんなにおいしい料理を出しても、

お店がなくなってしまっては元も子もないのですから......。

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