2008年3月アーカイブ

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」

自分だと答えてくれるから、白雪姫だって鏡に問う。
自分の醜さを映す鏡だったら怖くて誰も好き好んで見ることはできない。

しかし、美しいのは自分だと言ってくれる、白雪姫と同じ鏡を本当は多くの人がこっそり隠し持っている。この鏡が非常に厄介。

それぞれが持っている鏡に問えば、「自分はこのままで大丈夫だ」「自分は正しい判断を下している」「自分は分かっている」「悪いのは自分じゃない」という答えが返ってくる。
しかし、他人の鏡で映されると全く逆であることが多い。
この鏡を別の言葉で言ったら、『正当化の鏡』『逃避の鏡』と言い換えることが出来るかもしれない

いかにこの鏡を捨てることが出来るかが、組織の成長にも、人の成長にも繋がるのではないだろうか。

自分が思っている自分と、人に映っている自分は必ずしも同じではない。
かといって、醜く映った相手の姿を直接伝えるのは難しい。組織の中であればなおさらである。
結局、言いたいことはあるが口には出さず、当たらず触らずの馴れ合いのコミュニケーションをとる。
しかし、そんな人達の言葉に責任感や、人を納得させる力がどれだけあるかは疑問である。

たしかに、人の嫌なところや間違っていると思うことを直接本人に言うのは簡単なことではない。
それに、日本人は実名で個人間の批判をするのを嫌う。ネット上に匿名で批判的言説が多いのは、そんな日本人の特徴を象徴しているのかもしれない。

そう考えると、個人として面と向かって他人を批判できる人は組織の中にどのくらいいるのだろうか。そんなことは上司や先輩がすればいいことだと思っている人が大半なのではないだろうか。

最近では、部下や後輩を褒められない、叱れない上司や先輩も多くなっていると聞く。
これは、我社や他社への関心の度合いが下がっていることを意味し、組織にとっては非常に危険なことではないだろうか。

人に対して指摘や批判をすることは、褒めるよりも何倍ものパワーを使う。
言われた方は嫌な気持ちになるかもしれないが、言う側も同じくらい嫌である。
しかし、本人には気づいていない自分を映し出し、自覚させるためには必要不可欠である。
そのギャップを認識し、自分を変化させることがその人にとっての成長なのではないだろうか。

変革も革新も、成長も発展も、総じて変化が起こっている最中、もしくは、変化が起きた後の状態である。当然だが、変化なくしてそれらは起こらない。
変らないこと、変れないことは、むしろ衰退を意味するのかもしれない。

個人として面と向かって他人を批判できないということは、いじめを傍観している子どもとなにも変らないのではない。

『悪いことをはっきりと悪いと言う。』
それが、強い組織を作る上でも、自分を高めていくためにも、非常に重要なのではないだろうか。

OBT協会 伊藤誠司

目的や物事の意味を"自分自身"の中で明確に持っている人間は強い。
たとえ周囲の状況が変貌したり、意図しない方向に傾いた環境でも、自分自身というものが分かっている人間は、その状況に振り回されることなく目的を成さんとする。もしくはその変貌や環境をも何とか利用していこうとする。そして、その事が出来ている人間の行動や発言にはブレや迷いがない。

先日、弊社で「異業種交流と自分自身の仕事に対する再考察」をテーマとした、女性人事担当者の方対象のセミナーを開催した。あらゆる業種で様々にご活躍されている女性のインタビューを上映し、そこから自分自身の価値観を照らし合わせて考察するという企画である。

インタビューに上映された女性はもちろん、受講者の皆様もまた、日々懸命に仕事に向き合っていらっしゃる溌剌とされた方々であり、自身の仕事観について盛んな意見交換をすることが出来た。例えば、

"仕事とは、"という質問に対して・・・
・自己成長の場
・社会との接点を持てる居場所
・趣味の延長上
・エネルギーを使う場所であり、また生まれる場所

というような答えが速球で返ってくる。漠然とした投げ掛けであっても、そこに明確な解答を持ち、そのことに対して様々な価値を見出し、自ら掴み取ろうとしている姿が窺える。

仕事であっても、これが人生という括りであったとしても、その物事の"何に価値を置くのか"ということは、誰かに強制されるべきものではなく自分の中に内在するものである。また、その内在するものを確立させていくのは、自分以外の何者でもない。

私は、この企画に携わり、改めて、"自己を管理する"ことの大切さを痛感している。
自己を管理するためには、物事を深く考え、自分の中で理解することが不可欠だ。そのことから目的・意味が生まれ、自らの行動に変わっていく。

ただただ漠然と目の前の仕事に追われる日々ではなく、その目的・意味を自身の中で、明確にする上で毎日を過ごさなくては結果として、何も得るものがない。

またそのことは、組織体においても同様に言えることであると思う。

企業理念の言葉が会社案内のパンフレットに記載された、形骸化されたものではなく、トップの役員から、パート社員・アルバイトの方まで、各々自身が己の事として噛み砕き、それが主体的な行動として反映された時、その組織の本当の強さが証明されるのではないだろうか。

OBT協会 坂本晴香

このアーカイブについて

このページには、2008年3月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2008年2月です。

次のアーカイブは2008年4月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。