2007年8月アーカイブ

動物園に行って、檻に入れられたライオンや熊を見ても、
ガラスケースに入れられた毒蛇を見ても、やはり迫力に欠ける。

当たり前だが、襲われて食われてしまうという、危機感が少しも無い。
しかし、危機感が無いのは動物たちも同じなのではないかと思ってしまう。

動物園の園内を歩いていると、どちらが檻に閉じ込められているのか
分からなくなる錯覚に陥るが、人間が動物と人間を隔離し、
お互いの野生の危機感をなくしてしまったのは間違いない。

気のせいかも知れないが、動物園の動物を見ていると、危機感がない
と言うより、五感が鈍ってしまっているように感じる。
檻の中に入れられて、襲う動物も襲ってくる動物もいない。
その上、毎日定期的に十分な餌を与えられていると、動物もあんな風に
なってしまうのだなと思ってしまう。

人間も動物なので、きっと同じなのだと思うと怖い。

隣の檻の中で起こっていることは、自分がいる檻には関係ない。
災害や殺人も、外国で起きたことと、隣町で起きたことでは捉え方が
だいぶ違う。ましてや、身内に起こったことだったらなおさらである。

違いは「危機感」にあると思う。
自分の身にも降りかかる可能性があると感じたとき、
初めて自分のこととして受け止められる。
国内で起きた地震であるから、地震対策をする。
近所で起きた殺人事件だから、防犯グッズを買いに行くのである。
危機意識がないと、自分のこととして捉えることができず、改善できない。
危機意識を持つということは非常に大切である。

先日オブザーブした研修では、いかに危機意識を持つことが大事であるか、
いかに日々危機意識を持つことから人が逃げているか、
いかに危機意識を持つことが難しいか、
いかに危機意識を持たせることが難しいか、
多くのことを学んだ。
そして、参加者の危機意識が大きく変化していくのを垣間見ることができた。

火事場の馬鹿力ではないけれど、人は追い詰められたときや、
怖いと思ったときほど、自覚している以上の力を発揮することが
できるのではないだろうか。
しかし、「窮鼠猫をかむ」ということわざもあるが、変化の速度の著しい現代
では、追い詰められてから噛み付くのでは、すでに遅い。

今の自分に甘えたら終わり。気づくことから逃げたら終わり。
変化することを拒んだら終わり。人間自分に対する甘えで簡単に終わってしまう。

つまり、成長が止まってしまう。

世の中は常に変化している。自分が変化を拒んだら、時代に置いてきぼりを
食らうだけである。成長していくためには、常に変化していかなくてはいけない。

自分を変化させていくために必要不可欠なものなのが「危機感」では
ないだろうか。

                                 OBT協会 伊藤誠司

8/3の日経新聞によると、今年は昨年に比べて
2倍以上もの新入社員がすでに人材紹介会社へ登録しているという。
その理由としては「会社が合わない」「配属が不満」等が多い。
以前から入社3年以内に離職する若者が増えている、という話があったが
大量採用が顕在化した今、さらにその状況は強まっている。

この状況は以下の二つが大きくかかわっているのではないだろうか。

◆企業による内定確保を目的とした過剰なメリットのアピール◆
確かに人も企業も相手によく思われたいのが心情だ。
しかし、何かしら不得手な部分があるのも事実で、
ごまかしていても遅かれ早かれ必ずと言っていいほど気づかれてしまう。
「私たちの会社は良いところもある。しかし、ここが弱い部分です」
本当に長く働いてもらいたい、これから会社の力になってほしい、と思うのであれば「こんな弱さがあります」と正直に自己紹介をすることで、
初めて信頼が生まれるのではないだろうか。

◆志望者の責任◆
 「会社が合わない」「思っていた仕事と違う」「上司の考え方が違う...」
 組織に全く違う構成要素が加わるとき、摩擦は必ず生じると思う。
 しかし外部環境ではなく、自分に目を向けて仕事をする姿勢が一番大切なのではないだろうか。
 裏切られた、思った環境ではなかった...と外部に責任を置いてしまうと、
一見それらしく思えるが、自分自身疲れてしまう事の方が多く、
他の場所でも外部に責任を求める様になってしまう。
 自分にコミットして仕事をすることで初めて成長していけるのだと思う。

「今の学生は...(企業側)」「会社の話が違う...(学生側)」
こんな話は現在あちこちで聞こえてくる。
しかし、本当に自社の現状を見つめただろうか?その一方で志望者は
自分が仕事をする上で大切な事を考えただろうか?
企業も志望する側も一回フラットになって、
「本当にそれが自分のためになるにはどうすれば良いか」
考えることが求められているのだと思う。

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