2007年3月アーカイブ

3月20日の日経新聞に2008年度採用計画調査で幅広い業種で採用を増やす動きが明らかになったという記事が掲載されていました。企業の新卒採用のすそ野が広がっているそうです。
自動車や電機など製造業が高い伸びを保つだけでなく、非製造業(運輸・通信・電力など)も大幅な採用増を見込んでおり、内需回復を反映し人手不足感が経済全体に浸透しつつあるとのことでした。

また企業側の採用時期も年々早まっており、東京商工会議所実施の「新卒者等採用動向調査」によると、採用活動の開始時期については、
「2006年12月以前」が18.9%と前年比7.5ポイント増加、「2007年1月~3月」が39.5%と、前年比4.8ポイント減少、3月以前合計が58.4%と前年の55.7%に比べ2.7ポイント増加しており、 採用活動時期を早める傾向がいちだんと進んでいることがうかがわれるという結果がでています。
ちなみに、2年前(平成17年度実施)の調査では、「12月以前」という回答が15.2%、「1月~3月」は38.0%で3月以前合計は53.2%だったそうです。

 前回・前々回と『人財の定着化』に関してお話をさせていただきましたが、今回のこの2つの記事の関連性もまた人財の定着化に多大な影響を与えると考えました。

"企業側の採用への高まるニーズとよりよい人財確保への動きとして生じる早期採用活動"は、一見両者にとって有効なものに見えます。

しかしその反面では、学生は高まるニーズと早まる採用時期のなか、じっくり将来のことを考える前に決断を迫られる状況になり、企業と学生との間で起こったミスマッチの影響が早期離職を招いてしまうこともあります。それにより人財不足による採用活動が長期化してしまう恐れがあることも把握しておかなければなりません。
また、大量採用する一方で入社して数年でそのほとんどが退職してしまう企業ケースも少なくなく、人財育成への熱心さの欠如やリテンション活動の不十分さなどもその悪循環の要因に挙げられるでしょう。

すなわちそれらがもたらすものが定着率の悪化につながり、両者にとってよくない結果にもなりかねることを、企業も学生も十分認識したうえで活動していかなければならないと思いました。


OBT協会   島田 圭子

3月14日の日本経済新聞に、『就職内定率 最高に』という見出しの記事がありました。
四年制大学を今春卒業する就職希望者の2月1日時点での内定率が87.7%となり、この二月調査を始めた1999年度以降で最も内定率が高かったということでした。

前回のOBTカフェでは「人財の定着化」についてお話をさせていただきましたが、引き続きそれに関連し今回は定着化の鍵の一つとしてEQを挙げてみたいと思います。

EQとはEmotional Intelligence Quotientの略で、日本語では「感情知能指数」と訳されています。
自分を理解し、自分の感情や行動を調整したり、他社との調和的な関係を生み出すために、感情を効果的に活用する能力のことを言います。チームワークや円滑なコミュニケーションが必要とされる場面では、このEQ能力が高い人が求められます。

近年、企業の採用において、知識や技術だけでなくいかに相手の気持ちを汲み取り、人間関係を円滑にすすめるEQの能力がますます必要となっており、このEQに重きを置いた採用活動を行っている企業も増加しているそうです。

先日、当協会にお越しいただいた方が、以下のようなお話をされていました。

企業が学生を採用する際、例えば...「やる気がある」「素直な人」など、マインドや姿勢を重視しているようで、実際には"学歴"などの条件を採用の決め手にしていることが多々ある。一方で学生も、「やりがいのある仕事」「社風・風土の良い会社」を希望しているようで、複数社から内定をもらった結果、最終的には「企業規模」「知名度」を理由に決める学生が非常に多い。
それらの"条件志向"が悪いというわけではない。ただ、実際に働き始めたら"偏差値の高い大学を出ている"から戦力として育つわけではなく、"有名な会社"だから仕事にやりがいを持てるわけではないのである。お互いが条件面を重視した結果、働き始めて様々なギャップがでてくる。その傾向が、近年更に強まっているように感じる。

また、働く側が条件ばかりに目が行くと、"相手の気持ちを汲み取り、人間関係を円滑にすすめるための能力=EQがどんどん低下してくる"といいます。要は、「自分が何をやりたいかが、わからなくなる」そうです。

「どのようなマインドを持った学生を、どんな風に育てたいのか」という企業の採用に対すると、
(待遇や知名度などの条件面ではなく)「自分がこの会社で、何を実現したいのか」という思いをもとに会社選びをする学生
...採用後のミスマッチを防ぐには、これらのことが大変重要だと感じます。

EQはひとつの観点ですが、採用する側・される側の両者にとって、とても大切かと強く思いました。


                          OBT協会  島田 圭子

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