2006年11月アーカイブ

採用難といわれる今だからこそ、「我が社のポリシー」を持つことが大切である。

少子高齢化の影響から早くも新卒の採用が多くの企業で難しくなってきている。
そのためか,採用に関わる側もあの手この手で若者を誘引するための手法が考えだされているようである。
例えば、内定者に海外旅行や資格取得の学習に要する補助金の提供等いろいろなアイデアを考えだされ、就職を希望する学生にとっては極めて優遇された幸せな状況にある。

一方で学生は、就職活動に際して、条件のいい会社を探す。
「自分が何をするかではなく、会社が自分に何をしてくれるか」を調べる。

そして自分の思うようにいかない状況に出会うと「ここよりももっと自分にあったいい会社がきっとあるはずである」と心ここにあらずで「遠くの方を眺め、ひそかにもっといい会社探しをしている」のである。

さらに学生だけでなくその会社の社員も「ここよりももっと自分にあった条件のいい会社がないだろうか」と就職情報サイトを見る。

「上司が何もしてくれない、会社が何もしてくれない、社会が、国がと」自分は何もしないで状況や周囲のせいにして不満を言う人は、非常に多い。

その一方で、日本を代表する"あるハイテク企業"では、新入社員に一年間トイレ掃除をさせているそうである。
「私はトイレ掃除をするためにこの会社に入ったのではない」と言って退職する人達が毎年30%以上もいるという。

しかしながら、この会社の社長は「この制度は我々のポリシーであってこれが嫌な人は辞めてもらって結構」と全くひるむ様子はないという。
「掃除、整理、整頓、清潔、しつけ等を5Sというが、これが社会人の基本であり、この基本が出来ない人は、仕事が出来ないし我が社の人材とはなりえない。
5Sの入り口がトイレ掃除であり、これを嫌がる人は当社ではお断りである」と。
「裏表なく、汗を流し、体を汚して掃除に先頭を切って取り組む社員を優遇する」というポリシーとのことである。

学生を採用したいために、"その場しのぎの策"の提供に躍起となっている企業、"いい条件探し"に終始している学生達...。このようなやり方が、企業にとって将来、本物の戦力となるビジネスマンを育てることにつながるのか。これから社会に出て、自分の力でとてつもなく長い「人生」という時間を生きて抜いて行かなければならない学生達の将来にとって、本当に幸せといえるのだろうか。

「採用難」といわれ、「良い採用をするために」というサービスが非常に多い今だからこそ、「我が社のポリシーを持つこと」「それらを、自分の目で見極めること」が、重要なのではないだろうか。
答えは外部が見つけてくれるのではない。自社の中で、自分たちの手で見つけ出さなければいけない。


                                             OBT協会  及川 昭

お客様の採用のお手伝いを通じて日々実感すること - 5

2008年度の新卒採用にむけて、様々な求人サイトが10月前半から次々とオープンをしております。
先日、新卒向けの求人広告を取り扱う広告代理店の方とお話をする機会があったのですが、ある求人サイトでは、以下のような状況であることがわかりました。(※増減は全て昨年対比)

■登録会員数(学生数)がほぼ横ばいなのに対し、掲載企業数が増加。
■学生の企業へのエントリー(志望及び登録)に関して、
 複数の企業にまとめてエントリーする学生の割合が減少。
(1社ずつ選定してエントリーする割合が増加。)
■企業説明会への学生の予約件数が増加。

企業間での競争率が高まる一方で、学生はある程度、就職先を絞って活動している傾向がうかがえます。早期の内定者確保に向けて、企業は年内から説明会を実施。それにあわせて多くの学生も参加している様子、積極的に就活に取り組んでいる印象を受けました。

また、企業としては人数確保に努めざるを得ない状況ですが、2007年卒の新卒採用では、学生側があまりの内定の多さに「なぜ選ばれたのか」と不安に思うケースも起きているのも事実です。先月の日経新聞によれば、「企業の一方通行的な採用と感じた場合は内定を辞退」し、「自分の何を評価してくれたか説明してくれた企業に就職先を決めた」という学生もいるとの事。

「内定者数」「エントリー」が多いほど、人材を確保できる可能性が高まる、と考える事もできますが、「どういう経緯で、どういう人材によって母集団を形成したか」その中身も大切です。数字だけにとらわれることなく、今自社にとって本当に必要な人材へ具体的に自社を語ること、そして語ることのできる魅力を創り上げていくことが、本当の訴求力だと思います。


                         株式会社エル・フォート 海津 茂史

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