2006年10月アーカイブ

お客様の採用のお手伝いを通じて日々実感すること - 4

最近、営業先で「求職者からの応募は来るけど、面接にこない」
「一応内定は出すけど、すぐ辞める」ケースが
業種・職種に問わず、本当に増えています。
しかし、この「原因」を追求する人事担当者はそう多くありません。

「アルバイト募集では退職者が多いから、
 意識の高い正社員にターゲットを変えよう」
「もっと向上心がある人を採用しよう」という
大まかなイメージはできるものの、例えば

・なぜアルバイトの雇用形態では求職者は満足しなかったのか
・同業他社と待遇面で劣る点はどこか
・そのギャップを埋めるために今の環境から求職者、現在の従業員のために
 どのようなメリットを生み出せるか

という厳密な話まで進むことはほとんどありません。

最近、人材確保のために契約社員を正社員化する動きが目立ちます。
しかし「安定した雇用形態」が普遍化した際、
それが必ずしも「定着率」に結びつかない状況も考えられます。

また、近年では「フリーター」や「ニート」等
様々な属性/名称が生まれましたが、
最近よく耳にするのが「第2新卒」。

数年前迄は「2,3年未満で離職した若者」とあまりいい印象はなかったのですが、
現在では新卒に次ぐ採用の人気市場となっています。

雇用の安定化と「定着率」、第2新卒等の新興市場に見られる「人材の確保」
このような社会の大きな流れに目を向けることも大切ですが、
時間が経過すれば競合も増加します。

今自社で起きている小さな「現象」に目を向けることから
大きな流れの中で、どのように他社と差別化を図れば良いのか
少しずつ気づいていかなければならないのではないでしょうか。

         株式会社エル・フォート 海津 茂史

お客様の採用のお手伝いを通じて日々実感すること - 3

■10/4付の日経新聞で「人材派遣料金の上昇」という記事が出ていました。
「約半年間で平均賃金が1割上昇した」という内容でしたが、
この上昇率は1986年の労働者派遣法が施行されて以来初めてとのこと。
中でも一番上げ幅が大きかったのが「事務職」、
人材派遣大手が利用企業に請求する一般事務職の時給は現在、
1950円〜2333円(首都圏/税別/交通費別)でした。

■先日、派遣会社のお客様とお話をする機会があったのですが、
「派遣スタッフが不足して"人材待ち"のクライアントも多い」との事でした。
2,3年前の「経験者しか受けいれない」企業の姿勢は一変し、
未経験スタッフでも採用するケースが増加しているようです。
また、一番採用しづらい職種は新聞記事同様「事務職」。
「正社員で雇用する企業が増加し、登録者も安定した正社員に流れる傾向にある」事が主な理由でした。

未経験の事務職採用の場合、
数年前は「時給1200円」で募集できた派遣スタッフも、
現在では「時給1500円」でも集まらないのが現状。
また、「未経験者」の時給が上昇しているため、「経験者」との格差がなくなってきているそうです。

■人材不足のため、企業の採用基準が低くなり、
未経験者層の時給が上昇する一方で、
派遣登録者は今までよりも簡単に仕事が決まるため
「嫌なことがあるとすぐに辞めてしまう」現象が増加しています。

また、08年度の新卒採用を見てみると、
金融業界を中心に1000人以上の大型採用を予定している企業が増えていますが、
賃金に注目すると、8月の平均現金給与総額は0.5%減となり、
【※前年同月比/出典:厚生労働省】
企業が雇用の増加に対して、人件費は押さえているのが現状です。


■ 以上より、
・ (経験が浅くても)採用するためには給与を上げざるを得ない
・ これからの採用難を懸念し、自社雇用を拡大する(→絶対数の増加)
傾向が見られ、企業の「人材」へのコストは深刻化しています。


■求職者にとっては経験/スキルが低くても
「高待遇」で向かえ入れてくれる企業が増加している状態。
企業側は、多くの求職者や既存社員に対して
「定着」や「質」を求めることは難しくなってきています。

■「定着率」や「社員の質」を高めるためには、
客観的な視点から自社の全体像を理解し、その上で
「魅力的な(=他者から選ばれる)会社」を目指すことで、
仕事に対する想いや自己に対する向上心を社員に根付かせる事が必要です。

 採用の現場では
「1週間で辞めてしまう」「内定を辞退してしまう」ことも起きていますが、
「若者の離職率の高さ」や「バブル期並みに求人倍率が高い」
という"現象"だけで終わらせ、人数確保に努めるのではなく
「辞退した人間は何を考えていたのか」
「今、求職者は何を求めているのか」という原因を考えた上で
自社にとってどのような人材が必要か、
求める人物像にとって魅力ある会社とは何か
を考えていくことが、求められているのではないでしょうか。

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