2013月12月11日
これからの企業間競争は「賢さ」の競争
自分たちが置かれている環境が大きく変わっているのだから、リーダーの役割として、
当然、組織の進むべき方向を大きく変えるような新たな手を打たなければならないのだが、
現実には、従来と大きく異なる方向に向かって思い切った決断がなかなかできないリーダーが
多いというのが、ほとんどの日本企業で見られる現象である。
実際には、管理と調整型が圧倒的に多い。
何故だろうか。 将来に向けては、2つの選択肢がある。
①「これまでの体制を維持・継続する」という選択肢 と、もう一方で
②「現状の体制を壊して新しい体制につくり変える」という選択肢である。
現実的には、将来の方向性を決めるといってもそれは非常に難しい課題である。
何故ならば、将来は見通せないし、よくわからないからである。
また、新しいやり方をやって成功するという確証もない。
一方でこれまでのやり方で今は、一応収益は上がっているという現実がある。
実際、今一応やれているという状態が非常に厄介であって、
変わる上での最大の障害となる。
そのため、組織の命運を左右する大きな決断がなかなかできず、
周辺環境が激変している場合でも結果として旧態依然のままで
経営を続けているケースが圧倒的に多い。
昨年の日経新聞で、海外では今の日本企業を指して、
"NATO"(Not action,Talking only)と揶揄している、という記事があった。
要は「言っているだけで行動しない。もう少し時間をかけて、持ちかえって、
詳細を調査して検討しよう」等というのが日本企業、という指摘である。
今日、明日の収益を考えるとこれまでのやり方を維持継続することの方が
やりやすいし結果も読める。
これは、一見すると合理的な判断である。然しながら、短期的には最適な判断は
長期的には決して最適でないという場合が非常に多い。
考えるべきは、「短期的には合理的な判断であったとしても、
それを繰りかえすことが後々に問題を一層拡大させる」という点である。
そして、それが一定の飽和点や臨界点に達した時、最悪の事態に陥るのである。
そして後で振り返った時、「我々は、ただただ誤ったことを
一生懸命やっていたに過ぎなかった」という事例は枚挙にいとまが無い。
経済問題だけを考えても、構造的に変化する中で、
また、将来の不確実性が高まる中で、我々がかつて経験したことの無い、
いわゆる想定外の状況に突入しているのであり、成長一点張りの議論に
終始してきた過去の30年とは明らかに異なる環境下に我々はいるのである。
要は、好むと好まざるに関わらず、成長経済下に対応するために
組み立てられてきた経営の枠組み、事業の枠組みを、
今考えなおさなければならない大きな変化に直面している。
いわゆる経営や戦略の転換点にあるのである。
昨今、国内市場が縮んできているため、中国、インド、ブラジル等の
新興諸国に進出して事業機会を見出すという企業は多いし、
その考え方は決して間違ってはいない。
ただ、日本の国内拠点の改革がきちんとなされていないまま
海外進出した企業は進出先での生産性が伸び悩むケースが非常に多い。
気がつくと、国内海外を合わせたグループとしての生産性は大きく低下している場合が多い。
新興国の賃金は、今後も上がり、物流コストも上昇を続けるであろうし、
製品のライフサイクルも短くなっていく中で、単に、成長市場がある、コストが安い、
取引先である顧客が進出したから等を理由として進出するという意思決定は
本当に賢いといえるだろうか。
グローバル展開もさることながら、全体の最適化に経営判断の視点をおくべきではなかろうか。
2011年3月、の大震災とそれに続く原発事故から、我々が学ぶべき
最大のポイントは「想定」が崩壊するような非常事態が発生した場合、
「想定」に従ってあらかじめ作られた既存の仕組みでは、
その機能を十分果たせないということである。
人間は過去の経験に基づき「想定」し、経験を通して再確認することによって
「想定」に対する信頼感を高めていくのである。
東日本大震災は、基本的に「想定外」の出来ごとであった。
然しながら、関係者が口にする「想定外」という言葉には、
常に責任逃れのニュアンスがつきまとい、本当は「想定すべき」であった事柄を無視し、
「想定外」という領域に逃げ込んでいるという印象は免れない。
企業経営や事業の世界では、想定外の事態に対して、
的確な判断を下さなければならない局面が多々あるのも事実である。
リーダーとして能力が問われるのは、まさにこの想定外という領域への対応の優劣であろう
例えば、企業経営において想定外の出来事というと
「経営破綻」或いは「倒産」という事態であろう。
これを不可抗力と片付けていいのかということである。
経営というのは、まさに想定外をつぶしていく仕事である。
その時に必要となるのが、「先を見通す力」である。
世の中に絶対というもの等あり得ない。
常に想定内を超えたところまで考えておかないと思考停止に陥ってしまう。
何故ならば、今は、経営でも、戦略でも技術でも、
昨今は「目に見える領域から目に見えない領域へと変化」している。
これからは、賢いか賢くないかが、
企業経営や事業を大きく左右する時代であることは間違いない。
既成概念に捉われないサービスを展開。「人間にとって一番大切なもの」を追求する経営
|
従来の業界の旨みを捨て、顧客の支持を獲得―高みを目指す「挑戦する経営」
|
|
<前の記事 | 次の記事> |